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    主人公織田の手取りは15万ということは、出版費用だけで月収の2倍以上。しかも借金もあるとなれば、そんな高額の出費を自尊心を満たす為だけに行うのは狂気の沙汰であるとしかおもえない。

    なぜ人は分かっていて破滅の道を選ぶのだろうか。
    古来より身持ちを崩し人生を破滅に追いやるものとして「ギャンブル」「酒」「女」は有名なものだが、これらに共通するものは「ジェネリックでインスタントな快楽」であり「自分が何者でもなくとも<金さえ積めば>入手できるもの」である。

    主人公織田にとっての出版はまさにこれと同じで、何者でもない自分が<金を積む>事で格上の人間になるという快楽を得る為の道具と化しているのであろう。

    多くの人間にとって、出版はゴールではない。むしろスタートだ。出版後の売上が、本や著者の第三者的価値を決めるのであって、ただ出版しただけであればそれはキッザニアのようなお遊びのお仕事体験と、そう変わらない。

    織田の人生は、他者からの蔑みの連続であったのだろう。それ故に自分が誰かの上に立ち、誰かに教えを垂れ、誰かに持ち上げられる事を熱望していたのだろうと思う。

    織田は崇高さを望んでいた。自身が世俗の愚かさを鋭く批判することで自身を崇高な存在として形作ろうとしていたのだろう。しかし、実際の彼は金を積んで得た快楽という資本主義社会の醜悪な構造に依存してでしか、彼の崇高さは実現化し得なかった。そうと思うと、人生の皮肉ここに極まれりといった思いである。




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    復活篇に入ってから、主人公と彼女の行為はまさに「◯ち◯い」としかいいようが無い。彼女の親の狂気もまた、一種の凄みがある。まさに、この親あってこその娘であり、その娘が中年になって主人公のような彼氏を作ったのもまさに必然といえよう。

    彼氏のマスターベーションを親に報告する彼女、その時点でこの世界は狂気に染まっている。主人公の両親は毒親と蔑まれながらもあくまで常識の範疇の人間として描写されていたが、彼女の両親は主人公や彼女以上に狂気に染まっている。頭がクラクラするほどの異常な空間は読む人を限りなく選ぶだろう。

    私はこの2話の小説を読み、あまりのおぞましさに読んでいて吐き気を催したが、それは同時に作者の筆力のなせる技であり、文筆家としての作者の自力が存分に発揮されてるが故の結果であろう。

    今後も新しい作品の更新を心待ちにしている。


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    主人公がここまで自己愛にまみれて自己を客観視できなくなった要因の一つが、ラマナ・マハルシというスピリチュアルにハマったという点は見過ごせない。

    また話は広がるが、主人公は密教も好んでいたらしい。マハルシと密教を繋ぐ点はいくつかあるが、一つは「人間の欲望の肯定」、一つは「顕教的な学的思考の否定(学問的研鑽や薫陶というシステム自体への嫌悪)」、一つは「マクロ視点の絶対的優位性を強調」である。これはどちらも主人公の欲求に合致していた。それゆえにこれらの宗教思想を好んでいたのがわかる。

    さらに主人公が客観視や中庸・妥協を否定するようになった要因のもう一つが「ヘーゲルのアウフヘーベンに対する感情的嫌悪」というものがある。これは主人公の論敵の1人であるマルクス経済学の始祖であるマルクスの思想に大きな影響を与えていたのがヘーゲルだからだ。

    主人公の持つ保守主義・経済学の観点からマルクスの思想は全て否定したい絶対悪であった。それであるならそのマルクスの論理の根幹にあたるヘーゲルの論理は、当然受容することなどできない。主人公の恐ろしく近視眼的で感情的な論理の根底には、アウフヘーベンの拒否が横たわっているのだろう。

    彼にとってウフヘーベンは「Aという絶対真理」を「Bというニセモノの論理」で希釈し、純粋性を毀損した上で「Cという紛い物の妥協案」を成立させる為のツールとしてしか把握できていない。

    これが彼の方程式になり

    ◆「ケインジアン(真理)」を「主流派(偽の論理)」と混ぜた「ニューケインジアン(主流派的ケインジアン)」の絶対否定

    ◆「保守主義(真理)」を「新自由主義(偽の論理)」と混ぜた「改革保守(自民党)」の絶対否定

    ◆「霊的直感(真理)」を「学術性(偽の論理)」と混ぜた「宗教/哲学の体系的理解そのもの」の絶対否定

    ◆「反AI(真理)」を「AI消極的許容論(偽の論理)」と混ぜた「AI中立論者」の絶対否定

    こののような結論にアウトプットされるのであろう。

    主人公がなぜ妥協や中庸をここまで嫌うのか。それは思考の深さ故ではなく、むしろ主人公の思考の単純さ
    「=純粋性が高いものが善、不純物が多くなるものが悪」
    「=自身に快をもたらすものが善、不快を催すものが悪」
    という方程式で語れてしまうのである。

    そしてこれは恐るべき事に、主人公の彼女にも当てはまる。彼女も障害由来の「自己の絶対視」がその人格の根底に横たわっている。主人公と彼女が付き合い出したのは不思議ではないのかもしれない。

    それは自己を絶対化をする者同士が、互いの絶対性を保つ為にひたすら現実社会から逃亡し、周囲のまともな人間を切り捨てながら自己欺瞞の正義を語り合う依存相手として最適だったからなのだろう。

    ここである人が主人公にぶつけた質問から、彼の思考構造がいかに浅薄かを見てみる。

    「もし貴方(主人公)が、自分の欲望・本能を満たす事が保守主義であると定義するなら、貴方が批判している(人材派遣業で財を成し、経済や金融関係で政府中枢にいた)<あの人>の欲望・本能も肯定すべきですし、自己の欲望をこよなく追求した彼も保守主義者であるということになりますが」という質問に、彼は明確な論駁ができなかった。

    彼は「人間の三大欲求は生存に不可欠なのだから、三大欲求を守る事こそ保守である。その起点は人間の個が持つ欲望である」と定義付けたのだろうが、彼は「人間の欲求は(三大欲求に起源があるとしても)多義的であり、権力欲や金銭欲、またはサディズムなど、社会的に負の欲求と見られるもの」を全く考慮してなかったのである。

    彼は食欲が強く、性欲も強く、権力欲もあると自称していた。それ故に欲求充足を自身の保守主義の基礎としていたわけだが、それが深堀りされた時にどのように批判されるか、全く考えていなかった。

    また彼の論理矛盾を代表する逸話はもう一つある。
    それは保守主義の大家の1人であるアクトン卿の言葉「権力は腐敗の傾向がある。絶対的権力は絶対的に腐敗する」を盛んに彼が引用していた件である。

    その言葉に対して「もし権力が腐敗するなら、貴方(主人公)が言論界で権力を得たら、アクトン卿の予言通り、貴方も腐敗することになりますが、それはどうお考えですか?もし自身が、腐敗した時は、どうする気でいらっしゃいますか?」という質問に対し「自分は腐敗しないようにする」という月次の答えしか出来なかった。

    この2つの逸話は、派遣業で財を成した<あの人>のあのシーンを思い出す。

    それは<あの人>がTV番組で、盛んに「各業界に巣食う、老害の排除」について熱弁していた時、新進気鋭のメガネの経済学者が

    「それでは先生が率先して引退なされてはいかがですか?」

    と促され、しどろもどろになったシーン。

    彼(主人公)の状況も、全く同じであった。<批判>の中に自身が考慮されていないのである。いや、自身の主張の論理矛盾を認知していないのである。

    これは理論構造を深堀りされた時に、明晰な回答を彼が用意していなかった顕著な例である。主人公は自分の感情や快・不快を重視するあまり、論理的整合性をあまり考えずに口走る傾向にあることがこの逸話からも見て取れ、経済学や哲学は主人公のあいまいな思考を、後付で論理武装するための道具としてしか見ていないのであろう。

    整理されず曖昧模糊とした思想は、素人は騙せても少し学を持っている人間なら騙せないという良い例であろう。


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    この主人公は給与が低く借金を返せる目処が無いのにも関わらず、2冊目の出版を思案しているというのは度し難い行為である。処女作がヒットし、出版社から請われて2冊目を出すというのならまだわかる。しかし主人公は処女作が売れてないのにも関わらず、また多額の自己負担を要する合同出版に手を染めようとしている。しかも親に出版費用をねだるなど、アラフィフの中年男性がするにはあまりにも情けない。

    この主人公は全く地に足を付けて生活をしていないし、未来に対する展望も、自身を客観的に見る堅実さも無い。

    経済的自立すら怪しい障害持ちの彼女と結婚する予定があるのであれば、当然主人公が金銭面を支えなければならないが、主人公がこの有様では彼女との結婚は単なる言葉遊びであり、どれだけ互いが純粋に、精神的に深く繋がっていたとしても現実の結婚として結びつく事は到底無理だろう。

    一体何が主人公をここまで愚かにするのか。自己を「偉大なる経済思想家」であると考えるのはリアルに考えれば誇大妄想である。この誇大妄想で人を惹きつけるカリスマ性があればまだ教祖として生活を成り立たせていく事も可能であろうが、主人公には圧倒的にカリスマ性に欠けている。カリスマ性とは正反対の所に主人公は位置しているのだ。

    氷河期世代の中年男性の「情けなさ」がこれでもかと表現されているこの作品は、ここまで堕ちていない人間が読む分には「愉快な見世物」として楽しむ事ができるが、主人公に近い読者にとってこれは心をナイフで切り刻まれるような読書体験になるに違いないと思った。








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    一度未公開になったのものの再公開と、新編開始とても嬉しいです。

    彼がだんだんとカルト的な思考に流れていっているのが恐ろしくもあり面白いです。

    ここで私の身の回りにも存在した、この作品の主人公(彼)のような人間が、現在のようにレスバでマクロ経済学だけでなく哲学の論理を使うようになっていった経緯を書いてみます。

    ・当初、彼は哲学を嫌っていた。
    ・彼が哲学を嫌っていたのは「哲学は上から目線で、なんか偉そうに語るから」という感情的な理由。(※特に彼は「上から目線」が大嫌いである)
    ・彼の経済学上の論敵であったMMT四天王の存在が彼にとって脅威であった。(※MMT四天王とは、いち早くSNSにてMMTの内容を発信していた一般の有名経済学アカウント4人の通称である)
    ・MMT四天王の1人に<犬のアイコン>の論者がおり、その論者はマルクス哲学を根幹にMMT解釈を行って人気を集めていた。
    ・彼は<犬のアイコン>論者の「マルクス哲学によるMMT解釈」はMMTを商品貨幣論化するものとして厳しく批判していた。
    ・しかし彼には哲学の知識が無く、マルクス哲学(※マルクス経済学のみではなく広義のマルクス哲学)によるMMT解釈にクリティカルな批判が出来ずにいた。
    ・その時期に彼の友人Aが貨幣論の論理的裏付けにハイデガーの存在論を学んでみてはどうかと勧めてきた。
    ・友人A経由でハイデガーの存在論を学んでいった所、彼の支持者である友人Bがハイデガーに傾倒し始め、友人Bは彼のマクロ経済学理論との違いを意識し始めた。
    ・彼は友人Bの事を「ハイデガーを学んだ事で商品貨幣論に転んだ」と解釈し、喧嘩の後に友人Bとの関係を断った。
    ・彼がハイデガーを商品貨幣論的だと判断した内容は「現存在と道具的存在との関係性の論理」がマルクスの商品貨幣論と同様のものであるとしたから。
    ・以降、彼はハイデガーに対して「友人Bを自分と離反させた人物」として感情的嫌悪感が生まれ、自身の哲学もハイデガー哲学を回避する(忌避)するようになった。(※故に彼が現象学を扱ってもハイデガーではなくフッサール哲学を使用してる)
    ・友人Aはハイデガーだけでなく哲学の様々な論理を彼に伝えたが、その中で「存在論・認識論・倫理学」が哲学の重要な項目であると伝えられると、彼はそれに強く影響された。
    ・彼は独自の哲学を構築し始め、MMT四天王の<犬のアイコン論者>を哲学的観点から批判できるようになり、自身の優位性を強く感じるようになった。
    ・SNSの経済学クラスタは哲学知識の素養を持つ者が極少数だった為、彼独自の哲学によるミクロ経済学・政治批判は「誰も批判ができない最強の論理」として彼の傲慢さを加速させた。(※特に主流派経済学徒からすれば抽象理論を駆使するマクロ経済学と哲学の両方を衒学的に駆使する彼の主張は全容把握も論破も困難であった)
    ・友人Aは思う事があったのか、次第に彼から距離を取り始め、彼が彼女と付き合い始めた頃、彼と完全に縁を切った。
    ・特に倫理学的知識はレスバ時の最強の武器になり、彼は何かにつけて「倫理・道徳的には~」と哲学(倫理学)視点で語るようになった。(※この時に彼がかつて毛嫌いしていた「偉そうな上から目線」を行っている事に自身が陥っている気づいていない)
    ・さらに彼は独自の哲学(倫理学)を深める事で「自分は哲学において新しい試みを行っているのだ」「自分は天才である」という確信を得るようになりますます増長していった。
    ・この頃になると、彼独自の政治論(保守思想)・経済論(ポストケインズ経済学)・哲学が混ぜ合わされ、複雑怪奇な違法建築型の思想に変容し、他者がその全容や論理的整合性を伺う事が不可能になっていった。
    ・彼が「経済評論家」ではなく「経済思想家」を自称し始めたのもこの頃。
    ・確信を得た後の彼は「論敵の理論を曲解・誤解したままでも許され、論敵は自身の哲学(倫理学)を深く学ばないと批判ができない」という哲学の構造を無意識に悪用して、日々のレスバで精神的勝利を重ねる様になった。
    ・この哲学(倫理学)の悪用によって「誰も自分に論戦で勝てない」「自分は無敵である」との態度を顕著に出すようになる。
    ・この態度が最も顕著に現れてるのが彼の反AI論理である。
    ・彼は自身の哲学・マクロ経済学論に対して、敵と味方を明確に峻別し始め「自分を少しでも批判してくる人間は敵」「自分の論理を完全に信奉している人間のみ味方」「現実的な妥協案を提示してくる人間は敵」「論理の純粋性を保つのが最優先される」「中立や中庸など存在しない」という過激で原理主義的な態度に傾倒していくことになった。


    この流れを見るとこの作品の主人公の心理変化と近くてゾっとします。この作品はリアリティがすごいですね。
    また新作が上がるのを楽しみに待ってます。


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    一話 一罰百戒への応援コメント

    この主人公と同じ様な人生を送っている人がいるがその人は

    ・子供の頃に不思議の国のアリス症候群に罹ったことがある
    ・若い頃に政治団体を立ち上げたが、人間関係の不和により自分が作った組織から追い出された過去がある
    ・借金があり貧困に苦しんでいると言いながら、外食(美食)を楽しんでいる様子を写真付きでSNS上に流していた
    ・経済学や哲学にハマる前はスピリチュアルにハマっていた
    ・特にラマナ・マハルシというインドの不二一元論の聖者の教えを好んでいた
    ・その影響で自己流の瞑想を行っていた
    ・瞑想すると「頚椎がパキパキ鳴る」と盛んにTwitterで報告していた
    ・地球平面説(フラットアース)論者と対談し、地球平面説に理解を示していた
    ・ケインズの不確実性を多用し、これを主流派経済学への主な攻撃手段としていた
    ・本を読めという主流派論者への返答に「本を読んでも眼が滑る」
    ・「本を読むと他人の思想が自分の中に入ってきて思考がオリジナルではなくなる」という理由で読書を避けていた
    ・自身の作り上げた学説・理論の事を「作品」扱いし、それにケチを付けたり論理誤謬を追求する人間を「自分が汗をかいて作った理論を壊そうとする輩」と極端に嫌悪した
    ・自分が中心で行っていた経済学勉強会で「自分の言ってる事は全て信じず疑って欲しい」と謙遜しながら、いざ勉強会メンバーが自分の論理から外れた主張を言い出すと「自分が教えた事に少しでも反する事を言い出した奴は駄目」「自我が出てきたやつは主流派に転びやすい」と矛盾しかつ横柄な態度を取る
    ・反AI活動で著作権の事を言っている割に、自身はつい最近までプライベートアカウントのアイコンは某アニメ画像の無断使用を行っていた。(なお彼女もその件について咎めたことはない)
    ・彼女は数学が得意らしいのだが、彼女経由での理系的・数学的思考への影響が当人に見当たらない(本当に彼女が数学が得意かどうかは不明)

    こういう事もやっていて、このような人間はこの作品の彼と同種であると思うので、彼の行動原理を説明する上で非常に役立つのではないかと思った。

    勿論、上記に列挙した事も、他人の空似で、本作の彼とは全く関係無いものなのだが。


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    彼女編最終話への応援コメント

    彼女編完結おめでとうございます。
    最後の一文にゾッとしました。つまりこの物語はくまちゃん視点で主人公と彼女の内面を書いており、劇中劇の形式を取っているというオチ。主人公の卑屈な精神をここまで描写できる作者の筆力に感服します。

    主人公らはくまちゃんを切るべきではなかったというのは勿論、ただでさえ茹でガエル状態の人生を、さらに自ら寿命を縮めるような、愚かな選択をしたように思え、主人公らがどこまでいっても間違った選択しかできない<愚者としての業>をここまで煮詰めて表現できているのはすごいと思いました。

    身の丈に合わないプライドや、傲慢さ、知的誠実さの無さ、ひるがえって人望の無さがここまで主人公を追い詰める事になるとは。現実的な反撃も法律で縛られ、あがきすらも貧困ゆえ何もできない。自縄自縛。まさに氷河期世代の落とした負け組の象徴のような主人公の有り様を描くこの作品は、同じ境遇の人には胸に大きなナイフが刺さるのと同じ、最悪の読後感をもたらしてくれる作品だと思います。

    このオチだけでも綺麗にこの物語は完結できると思いますが、できればこの先の、この小説を読んだ主人公や彼女の反応がどうなっているかも読みたいです。

  • ついにくまちゃんと決別することになった…。問題は現実的な問題提起をしてくれるくまちゃんがいなくなったあとの主人公とその彼女がどういう風になっていくか。主人公はくまちゃんと決別したけど、彼女とくまちゃんの因縁はまだ決着してないし。もし彼女の感情がくまちゃんに直接爆発したら、主人公は巻き込まれる形でどん底に落とされそうだなぁ…。

  • 騒動の内容が明らかに…!
    当時いなかったので、面白く読めますね(*ˊᵕˋ*)
    人間関係がドロドロや…続きが楽しみです😊


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    生煮えの日常から崩壊への序曲に入っていったっぽいストーリー。主人公と彼女の精神が痛々しい。

    一方でくまちゃんとラノベ作家の女は自分達の露悪的な態度を軽やかに滑走して、力強く生きている。

    なぜここまでの差がこの2組の間に生まれたのか。お互い傷は持っていたし、傷を誰かに与えていたのは事実だけど、くまちゃんらはそれを高みから見ている「人間は倫理で全てを片付けられるほど、正しさを煮詰める事はできないのが普通だ」と言わんばかりに。いや、それが本当は人間としてのごく普通の振る舞いなのかもしれない。

    主人公や彼女のように精神が断崖絶壁に追い込まれ、まさに正義や倫理しか自身の優位性を主張できない「正しさという狂気に染まった人間」は、むしろ人間性を失っていくという過程が、この物語の中で進行していっている気がした。

    これはニーチェのいうキリスト者のルサンチマンと同等のもののようにも感じる。貧困であればこそ、苦境であればこそ、その者はそれだけで正しい。信仰というただ一つ絶対の基軸さえ守れば、貴方は天国に最も近い高貴な人間なのである。一方で現世で勝利している者(金持ちや成功者)は、卑しい。彼らは地獄に最も近い人間であるという考え。ニーチェはそんな考えが人間の持っている生の意思を弱めているという風に批判していたように記憶している。

    主人公と彼女もまた、彼らにとって唯一絶対の信仰、最後の拠り所である「おのれの倫理」を突き詰めれば突き詰めるほど、現世の幸せから空転していく様は悲劇でもあり喜劇でもある。

    作者が言う「この時代の自然現象」とは新自由主義的な気風かと推測するが、それを軽やかに乗りこなすくまちゃんらと、それを絶対的に否定しながら沈没していく主人公らがあまりにも対照的で心苦しい。しかも主人公はキリスト者のように来世への救いすら提示されていないのが、ますますこの物語を陰鬱なものにしている。

    彼らの鬱屈の終わりが、日本赤軍やオウム真理教のような「自分勝手な正義の追求の末の破滅」に向かっていくのではないかと恐れおののいています。




  • 編集済

    くまちゃん怖い。能力エリートが持ってる冷徹な視線と無邪気な利他行為がここまで怖く感じられるのは始めてです。現時点でのくまちゃんのイメージが「貧困ビジネスさせたら上手そう」「建前だけのNPO団体作るの上手そう」になった。

    本来主人公や彼女がいるような底辺コミニティにはいちゃいけない危険人物っぽい気がする。くまちゃんのコミュ力とか分析力とか使えば、気分次第で彼女らのコミュニティーをクラッシュさせるのも簡単そうだし、主人公や彼女を精神的に追い詰めるのも得意そう。(しかもそれがくまちゃんの悪意でも、無邪気な善意でもどちらでも成立しそうなのもまた…)

    意味ありげな終わり方もまた恐怖を掻き立ててる。



  • 編集済

    彼女編二話 正しさの証明への応援コメント

    くまちゃんってカースト上位のブラックユーモア好きな知的モテ男って感じしますね。悪意があるんだけどその悪意を絶妙にオブラートに包んで余裕ある態度で会話できるから、多くの人が嫌いになりきれない。でも人生の底辺にいる人間達からすると一番感情的なヘイトを買いやすい人間でもあるように思えます。

    なぜくまちゃんが彼女のヘッダーを加工したのか、その経緯は現段階では描かれていませんが、くまちゃんの人となりから推測するにヘッダーの悪い点を添削したのが、彼女には「無断加工」「著作権侵害」と捉えられたのではないのかな?(詳細には描かれてませんがくまちゃんがキティちゃんやラノベ作家とオタ話に付きあえてる以上、なんらかの絵やデザインの心得があっても不思議ではないですし)

    そうなると彼女の怒りが、著作権侵害・無断加工されたことの怒りというより自身のプライドを傷つけられた事の怒りに様変わりし、この編の彼女を見る視点が変わってきます。

    あと気になるのが「くまちゃんがあまりにもあっさりアカウント消してる」って事。普通であれば彼女の謝罪要求程度でアカウント消すことなんてないと思うし、結構酷い炎上後も普通に活動してた所からみると、くまちゃんにとって<このコミュニティー>は取るに足らないものだから、呆気なくアカ消ししたんじゃないかとも思えます。彼(主人公)がくまちゃんとの縁を切ると言ってるけど、実際はくまちゃんの方から縁切られた立場だったんじゃないかな?

    そもそも、くまちゃんのような人は、このコミュニティーに<居場所>を求めていない。<安心>も求めていない。<自尊心の充足>も求めていない。ネット内で悪評が流布されて炎上されようが、別に構わない。だってネット以外にも居場所があって、リアルの生活も満足してそうだから。だからあまりにもあっさりコミュニティーをいち抜けたんじゃないでしょうか。しかも無言で。「彼女の癇癪につきあわされるのは面倒くさい」その程度の理由ですら、くまちゃんがコミュニティーを抜ける理由としては十分すぎる。

    もしかしたら、くまちゃんが彼女のそういう癇癪持ちなことを知っていて、あえて彼女が怒るのを面白がってるぐらいの腹黒さがあるかもしれない。そうなると彼女の怒りの発露をアカ消しという物理対処で絶対に不可能にして、彼女の精神を窒息させようとしたくまちゃんは相当計算高いし性格悪い。でもこの性格の悪さは知的な愉快犯のような余裕がある点で、彼や彼女のような<貧者の性格の悪さ=必死な悪意>とは違う所でもある。

    くまちゃんのようなコミュニティーのポイ捨て行為なんて、彼(主人公)や彼女は絶対はできない。自分が唯一正義を語り自尊心を満たせる場がネットのこのコミュニティー内でしかないから、どんな事があってもここにすがりつくしかない。くまちゃんはこの作品の多くの登場人物(主人公、彼女、キティちゃん)とは対照的な存在として描かれてる事からみても、ここでくまちゃんとの縁が切れたのは彼女らからみて良かったのかもしれません。

    精神的にも経済的にも停滞し続ける彼女(や彼氏)の中で、くまちゃんは永遠に擦られ続けるでしょうが、当のくまちゃんは彼女のことなど時間の経過と共にすっかり忘れるでしょう。生きているレイヤーが違う人間同士の絶望的な価値観のすれ違いみたいなのが暗喩的に表現されていて、今回の彼女編もとても面白かったです。

    彼女編の続きがくるか新編が始まるかはわかりませんが、また新作期待します!


  • 編集済

    底辺が底辺を見て互いに安心するという配信界隈の空気感がとてもよく表現されていますし、DMを通して複雑な人間関係が築かれる描写もリアルに描かれていて流石です。

    ここまで読んで一番に感じたのは、この作者は「女性の口調」をリアルに描写するのがとても上手い!!

    例えば「やさし」「ずるい」などの形容詞の単体使用は、女性が多用する口調ですよね。また「若いだけの馬鹿女が!」「泥棒猫のキティ!」など感情に任せた単純な罵倒はいかにも女性が発語しそうな言葉で、すごくリアルです。(実体験でも女性の会話は短文で感情表現優位で進む事が圧倒的に多い。若かったりメンヘラだと、さらにその傾向が加速する)

    思えば『未来編第二話』で描写された主人公(彼氏)と、どうきつねとの一触即発の会話と比較するとよくわかるのですが、こちらは男性同士ということもあり、感情を滲ませながらも論理的な会話を取り繕うとする努力が見て取れ、いかにも男性同士の口喧嘩っぽいなぁと思いました。(実際には口喧嘩未遂ではあるが)

    おそらく作者さんは沢山の人間(若い人を含む)に関わりある仕事されてるか、人間観察が得意なのでは?(性別による口調や会話形式の差なんて並の人だとまず気付かないですし)

    次回も楽しみにしています!


  • 編集済

    読んでいてどんどん辛くなる内容。でも怖いもの見たさでスクロールしてしまう。貧困や人生の満たされ無さが女性視点になるだけでここまで心苦しくなってしまうものなのかと、改めて確認できました。

    似た境遇の人が読んだら鬱すぎて発狂してしまいそうな内容ですが、自分はそういう鬱作品も大好きなので、この番外編も楽しみにしています。

    果たして2人に安寧はやってくるのか、それとも2人で茹でガエルのままで生きていくのか


  • 編集済

    彼女が大事にしているのが芸術としての仕事ではなく、商売としての仕事だということが伝わってくる独白でした。

    結局、彼女の絵仕事は自身がコンテンツホルダーになるほどの独創性が無かったのが全てなんだなぁ…と思います。

    彼女の態度からしてみて、彼女の仕事はフリーランスの絵土方(著名なイラストレーターや大手企業の社内イラストレーターの絵を加筆修正するだけのクリエイティビティが少ない単純労働者)だったのではないかと思います。

    生成AIに真っ先に仕事を食われるのがそういう絵の単純労働職なのですが、彼女はイラストレーターという名前だけで満足した結果、独創性の無い絵仕事だけを惰性で行い続け、現状がこうなってしまったのでしょうね…。

    これは主人公が作家・著作家という肩書で満足してしまっている状況と鑑写しになっているところもとても上手いと思いました。

  • 配信業の方の人間的感情、生々しさに背筋が凍えました。
    多くの方を取材されてリアリズムを追及されたと思います。
    個人的には続きや外伝、又は小説の裏側など読んでみたい気持ちもありますね。

  • 第21話 私の幼少期への応援コメント

    作者の人間洞察が凄まじいです。
    生々しい。読み始めると癖になりますね。

  • すごい倦怠感と、クレカの利用停止が心に響きましたね。