壊せなかった君へ。

よりた 蕾

第1話 プロローグ



 神様は暇を持て余していた。



 ガラスのキャンバスを持ってきて、筆でなんとなく人間を描き始めた。完成した絵は白い半透明のキャンバスに戻った。満足げな顔をした神様は、地球展示場にその絵を飾る。


 すると、ガラスのキャンバスが色を放ち、大きな口をあけて泣く赤ちゃんの絵が浮かび上がった。



 神様は目を細め、優しい笑みを浮かべた。



 絵は赤ちゃんから少しずつ成長して、少年になり、青年になる。それから、目尻に皺が刻まれた老父となった。その成長の過程で、絵は無垢な笑顔だったり、悔し泣きをしたり、照れ笑いしたり、嫉妬して怒り狂ったりと、変わっていく。



 神様は人間の様々な表情を見て、面白いくて美しいと呟いた。



 その神様は、暇を持て余してる他の神様にも人間を描く事を教えた。


 すると、神様の間では人間を描く事が流行しだした。


 人間を一から描くのが好きな神様、人間に幸運や試練をを描き加えるのが得意な神様、人間の終わりが愛おしいと描く神様。



 様々な価値観のある神様たちだが、皆共通しているのは“人間は神にとってアートで、どの瞬間にも美がある”という事だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る