藤原道長 望月の対歌【現代語訳、解説付き】

@KSGood

第1話 この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも 無しと思へば

※短歌は5、7、5、7、7の形式。

1文字多い→字余り

1文字少ない→字足らず

「っ」は1文字。

「ゃ」「ゅ」「ょ」は数えない。


原歌


このをば

とぞおも

望月もちづき

けたることも

しとおもへば


→5、8、5、7、7


藤原ふじわらの道長みちなが


「この世は私のモノだと思える。私はまさに満月のように欠けたところがないと思えば完璧だから。」


対歌1)

天見てんみれば

けたることも

しとおも

されど地見ちみれば

跡有あとありけり


→5、7、6、7、6


「天にいる見上げれば満月は欠けてるところはないように見えるが地上にいる満月(藤原道長)を見れば跡=クレーターがある、完璧ではないことが分かるから。」

※近くで見ればそうでもないということ

※自由律短歌なのも完璧ではないと表している


1のさらに対歌(つまり藤原道長目線)

あとさへも

望月もちづきうるわ

けは

しもからみるに

ふもさらなり


→5、8、5、7、7


「跡さえも望月の美しさであり、欠けはない。下から見るのであれば望月(藤原道長)の美しさは言うまでもない。」

※望月の跡(短所、欠点)は望月にしか分からないし下(人間)から見れば欠け(短所、欠点)はないように見えるのだから完璧だ。


対歌2)

このをば

望世もちよとぞおも

人間にんげん

けたることも

りとおもへば


→5、8、5、7、7


「この世は望月のモノだと思える。人間=藤原道長の欠けてるところも有ると思えば」

※あなたは人間で、望月のように欠けているところがないわけじゃない。


2のさらに対歌

さる真似まねでは

つきおもひは

露知つゆしらず

けるされども

らしつづける


→6、7、5、7、7


「貴方の歌は猿真似で月の思いなど露ほども知らないだろうと耽ける(悩む、考えるが)、それでも私は貴方を照らし続ける」


対歌3)

とぞ

おもふあまりに

じがあまる

けたることも

りとへる


→5、7、5、7、7


「我が世のものだと思うあまりに字が余ってる(自我が行き過ぎている)ではないか。欠けてるところもありと見える。」

※原歌の我が世とぞ思ふは8字つまり字余り→字が余っている→自我あまっているという皮肉。

※この対句はちゃんと五七五七七。


3のさらに対句

じがあまる

おもかしで

ちている

けととらへず

ひかりとらへる


→5、7、5、7、8


「字が余る(自我余る)のも思う明かしで満ちて(字が余って)いるだけで欠けと捉えず光と捉えて歌っている。」

※言葉通り"光と捉える"が8字で字余りしている。


対歌4)

せっしょうな

言動げんどうみな

天道てんとうさま

らしているぞ

脚下きゃっか照顧しょうこ


→5、7、5、7、6


「せっしょう(殺生、摂政=藤原道長)な言動はみんなお天道様(天皇様)が照らしている(見ている)ぞ脚下照顧(自分の足元を見よ)」


→逆に肯定してみる


対歌5)

望月もちづき

けてしまふと

しからば

天道てんとうさま

ふもさらなり


→5、7、4、7、7


「望月もいずれ欠けてしまうとするならば、(藤原道長が)天道様(天皇)のような存在だと今更言うまでもない。」

※望月は欠けてしまうけど太陽は欠けないからあなたは太陽のような存在だと周知の事実である。


5のさらに対句

たかつめ

かくすやうに

望月もちづき

またたひかり

かくしてしまふ


→5、6、5、7、7


「能ある鷹は爪を隠すように望月は瞬く光(溢れる才能)を隠して(欠けて)しまう。から私は望月である。」


対歌6)

望月もちづき

よをらしてば

みちがあけ

天道てんとうさま

はばかり


→5、7、5、7、6


「望月=藤原道長がよ(夜、世)を照らしてしまったら道(道長)があけ(開け、明け)て天道様(天皇)でさえも萎縮して去ってしまう」

※夜を照らす月のように世を照らす藤原道長がいれば明るすぎて太陽でさえも萎縮してどこかへ行ってしまう。


6のさらに対句

らしても

らぬかおして

すずしげに

したたかにらす

望月もちづきなり


→5、7、5、8、7


「照らしても照らしてないような顔で涼しげにだけど強かに照らすのが望月の夜である。」

※望月やをリスペクトした望月夜(もちづきや)


対歌7)

望月もちづき

摂政せっしょうならば

何者なにもの

鼈足すっぽんあしにも

およびもせぬ


→5、7、5、7、6


「望月が摂政(天皇の代わりに仕切る人)=藤原道長ならば何者もすっぽんの足元にもおよび(及び、お呼び)もせぬ」

※月なんて謙遜してしまったら誰もすっぽん(月とすっぽん)の足元にも及ばないし、誰もお呼びではない。


7のさらに対句

望月もちづき

天道てんとうりの

みちゆえ

かべ耳有みみあ

障子しょうじ目有めあ


→5、7、5、7、8


「望月(摂政)は天道(天皇)有りの満ち(道)だ(と考える人がいる)から壁に耳あり障子に目あり(軽々しくその言葉を口にしない方がいい)」


対歌8)

月満つきみちて

真実しんじつては

めんかく

いつわては

めんあらわ


→5、7、5、7、6


「月が満ちて(望月)真実を見たら面を隠し=望月から半月や三日月になる(正直者には優しく)偽りをみたら面を表す=満月になる(嘘や裏切り者には厳しくなる)ような人だ」


→4と8の対歌考えてみてね!✋

(もちろん原歌の対歌も!)

もしまた暇だったら(望月以外に)

対歌を詠むかもしれません

(詠まないかもしれません)

ちなみに私は

3の思ふあまりに、じがあまるが好きです。

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