“そうはならなかった時間”というだけの、静かな古物商の店内。我々の時間軸ではあり得なかった危機も終息し、静かに雨が降る空間。先輩からの突如の電話が告げたのは、ひとつの問い、そして、海を越えた地への誘いの言葉。帰りの船の旅で彼は、いや、彼を含む全乗員は、途方もない体験に遭遇する。その瞬間に、時代の、種族の節目となる瞬間へと、彼を招いた先輩の真意とは。壮大なる「神話」のプロローグ、その一ひらを、闇黒でも白光でもない、灰色に描き出した短編です。