碁打ちの帰宅

ごとうもろい

碁打ちの帰宅

愛人の家で寝転がり、ハズレ舟券と碁石を弄びながら天井を見る。

そうだ、家の権利書……。

権利書があればもっと借金が出来る。

最寄りの駅まで行き本宅に帰ろうとするが、まいった。道を忘れてしまった。一年以上帰ってない。

一旦愛人宅に戻り電話をかける。奥が出た。

「俺だが」

「俺と言いますと」

「お前の旦那だよ!」

「わたくしは結婚しておりましたか、随分長く一人でおりましたので失念しておりました」

「悪かった、ちょっと迎えに来てくれないか」

「勝手に帰ってくればいいでしょう」

「道がわからんのだ」

奧が笑う。怒っているのか、あきれているのか。

「いいわ、駅で待ってなさい」

最寄り駅にまた行く。奥が来た。

俺は家に連行された。

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碁打ちの帰宅 ごとうもろい @moroi

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