知らない世界に恋をする

無趣味

第1話

一体どれだけ歩いたのか

比喩ではなく本当に足が棒になってしまったようだった

けれども立ち止まる訳には行かない。

もう家を出て数時間が経つ

日は昇りかけていて直ぐに親が異変に気づくだろう


捕まれば二度と朝日を見ることができないかもしれない

そう考えた瞬間既に動かないと思っていた足は勝手に前へと進み始める


その瞬間横を通り過ぎようとしていたトラックがすぐ傍で停車する


まずい。と思った瞬間どっと疲れが来て足を動かすことが出来ない


ぱたり。と座り込む

ああ、ここまでか。もう自分の旅は終わるのか。唇をかみしめる


ガチャ。とトラックの扉を開けて出てきたのは50代後半の小太りの男性だった

身長は170少しで髪色は銀髪に紫色が少しだけ入っていて人の目を引くような見た目だった


「なんで子供がこんな時間にあるいとるんや?」


「………」

口をぎゅっと閉じる


そんな自分を見て察したのか男性は優しく問う

「家出か?」


「……………」

ほんの少しだけ小さく頷く


「そうか…」

ジロジロと全身を見られる


「なるほどな。大体の事情はわかったわ」

腕を組んでうんうん。と頷きながら男性は言う


「どうや?おじさんのこと信用できるんやったらトラック乗せたるけど」

信用。それは今の自分にとって最も難しい事だ

けど、ここで断れば確実に親に見つかってしまうだろう


だったら

座り込んだまま男性に手を伸ばす


「それは信用するってことでええんやな?」

今度は先程よりも少しだけ深く頷く


「よっし。それじゃあ乗りななるべく遠くまで連れていったら」


安心したのか痛いままだが少し動くようになった足を動かしてトラックに乗る


「ようし。それじゃあ出発進行や!」

男性はアクセルを踏んで車を発進させる


今まで自分が歩いていたよりもずっと早くてボーッと窓の外を見る

やがて、朝日がトラックの中を照らす頃

既に眠りへと落ちていたのだった

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知らない世界に恋をする 無趣味 @mumeinoshikisainomonogatari

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