夜想逃避行

光雨

夜想逃避行


 私たちの居場所を誰も知らない、そんな場所であなたと過ごしてみたい。思い浮かべた遠くの地、さらにそのまたずっと向こう。私達を知る他人の、誰の手も下らないそんな場所。


 スマホもお金も、重い手荷物も要らない。必要なのは2人の間だけで交わされる言葉と心と静かな抱擁だけ。


 空は晴れでも雨でもいい。晴れなら広々その手を繋ぐし、雨なら肩を寄せ合える。風が強すぎなければそれでいい。散漫に髪を直す手間が無ければそれでいい。


 暑すぎないほうがいい。秋のように程よい暖かさと冷たさがあればいい。世界が2人に爽やかであれば、それでいい。


 人は居ない方がいい。あなた以外の視線が飛び交う空間は酷く目に騒音だから、無視できない他人はどこにもいない方がいい。


 言葉の重さはつり合っていてほしい。感情の重さに傾かないでほしい。


風に前髪が崩れても私を綺麗だと思ってほしい



 ——全て、叶わなくてもいい。


 いずれあなたと離れて


 初めから2人には何も無かったように忘れて


 最後は、独りきりで死ぬとしても


 それまであなたが誰かと幸せであれば


 それでいい


 私とであれば


 それが、いい


 

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夜想逃避行 光雨 @HikaRi_aMe

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