かしつけ!

武藤りきた

1話完結

今日から貸付禁止法が施行された。


今日から金は借りるものではない。投資してもらって、成功したら返す、失敗したら返さなくてよくなったんだ。

日本中の銀行員が今、必死になって投資の勉強をしているそうだ。今日から反社扱いされるらしいからね。


午前8時。シャワーを浴びてバイト先に行った。

バイト仲間が、言った。

「今日だけでいい。今日を最後にするから一万だけ貸して欲しい。」

「ん?いいけど。」

正常性バイアスっていうのかな。まさか今日施行されていきなり逮捕とかないだろう。

僕は一万を貸した。

バイトが終わって、家に帰って来ると、ドアの前で数人の男性に囲まれた。

「君、今日友達に一万円貸したね?君の逮捕状が出ている。被害届が出ていて、目撃者もいる。午後6時38分。逮捕。」

僕は手錠をかけられ、警察署へ連行された。

精神鑑定を受け、判断能力があると診断され、裁判を受けた。

判決は懲役1ヶ月、執行猶予つき。

執行猶予なので、僕はすぐにシャバに戻された。

僕はバイトに戻って店長に謝った。

「すみません。ちょっとご迷惑をおかけしちゃって。」

「ああ。いいよ。いいよ。全然気にしてないから。でももうお金を貸すのはやめた方がいいよ。」

「はい。すみませんでした。今後とも宜しくお願いします。」


暫くするとこないだ一万を貸したバイト仲間が出勤してきた。

僕は言った。

「おい。お前のおかげで前科がついちゃったじゃねぇか。どうしてくれんだよ。」

「あ、悪ぃ悪ぃ。」

「とりあえず、貸したか…」

そこまで言って僕は言葉を飲んだ。お金を貸すのはもう違法なんだ。貸した金を返済要求するなんてまずい。今度は実刑になる。

僕は気を取り直して言った。

「あ、まぁいいけどさ。。今度から気をつけてくれよ。」

「勿論。ところでまた一万必要なんだが、今度は貸付じゃなくて投資でお願いできないかな?競馬行くんだけど、もし増えたら3倍にして返すから。」

「投資…。。。??」

僕は典型的な、投資をしたことがない日本人。

ちょっとためらったが、前科も食らったことだし、思い切って投資はじめてみるか。

「わかった。いいよ。3倍だぜ?」

「サンキュー。その代わり、増えなかったら返さないよ?投資だからね。」

「え?。。。あー、、まぁ投資っていうことは、、、そういうことか。。。」

「そういうことだよ。」


10年後。


僕が今どんな生活をしているかって?


言わないよ。   

                了

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かしつけ! 武藤りきた @Rikita_drummer

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