白鳥さんの愉快な日常 出張版その4

夢水 四季

逢坂君の結婚

「わい、お見合いすることになってん」

 大学を卒業し、おれと白鳥が探偵事務所を本格始動させ、烏丸が東京で弁護士事務所を設立し、薫は大阪で小学校の教師をしている頃である。

 ゴールデンウイークに薫から衝撃的な電話がかかってきたのだ。

「は? 見合い?」

「せやで。良いとこのお嬢さんと」

「いや、ちょっと驚き過ぎて……、ちょっと、白鳥~」

 おれはスマホのライン電話をビデオ通話にして、白鳥と共に薫に詰め寄る。

「薫、お見合いするって本当なの?」

「そうやで。真葛さんってとこや」

「真葛……?」

「真葛コーポレーションっていう会社が東京にあるけど、そこの方?」

「ああ、そこやで」

「それで、どうするのよ」

「お見合いはするで。その後は、まあ、お相手次第かな」

「そうか。見合い終わったら結果教えてくれよ」

「分かったで~」


 その後、お見合いが終わった頃、薫から電話がかかってきた。

「どうだった、見合い?」

「まあ連絡先は交換したんやけど、どうやろなあ……。相手、昔の好きだった人が忘れられへんみたいやで」

「じゃあ、どうするのよ」

「まあ今後も会って、わいに興味持ってくれたら嬉しいなあ」


 薫はデートのことをおれ達に話してくれた。

 デートを経るごとに相手の(撫子さんというらしい)ことを知れて嬉しいと言っていた。


 おれ達は電話でしか薫の恋愛事情を知らないが、徐々に距離が縮まっているように思った。


 お見合いから一年が経った。

「そろそろプロポーズしよう思てん」

「ついにするのね」

「指輪もう買ったのか?」

「買ったで。給料3か月分」

「成功を祈ってるぜ」


 薫のプロポーズが成功したという電話を受けて、おれ達は結婚式に備えることにした。烏丸にも連絡して出席するように促す。


 結婚式当日。

 白鳥は藍色の綺麗なドレス姿、おれと烏丸はスーツ姿で出席した。

 白鳥は新郎側親類席、おれと烏丸は新郎側友人席に座った。

 結婚式がもうすぐ始まるという時だった。

「すみません、ちょっとお願いがあるんですが」

 新婦側友人席から二人の男性が烏丸に話しかけに来た。どうやら新婦側でスピーチを任されていた人がブッチしてしまい、代わりにスピーチを頼みたいとのことだった。

「え、いいですよ、スピーチくらい」

 烏丸はあっさりとOKしてしまった。

「おい、どうすんだよ、お前。いきなりスピーチなんて」

「それっぽいことを言えばいいんでしょ。ちょっと定型文調べるから、静かにして」


 さすが弁護士、弁が立つとはこのことだ。

 薫とそんなに仲良くない癖に友人代表スピーチをこなしている。

 

 まあ、そんなことは些細なことで。

 結婚おめでとう、薫。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

白鳥さんの愉快な日常 出張版その4 夢水 四季 @shiki-yumemizu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画