無数の手に囚われし者

@karatachi23

無数の手に囚われし者

気の長い宇宙人の感覚でも、いくらなんでも遅すぎる。宇宙人は不安になっていた。彼者かのものの親しい友人は、一向に戦争や差別がなくならない地球の現状に業を煮やした。そして未開の悲しい星から争いをなくすために旅立ったのだ。宇宙人基準でも長い年月が経っているが、その友人からの連絡は一向に来ない。


単に忘れているだけならまだいい。でも争いごとに巻き込まれたり、事故に遭って帰れなくなっていたら大変だ。心配になった宇宙人は他の仲間たちと相談し、小型の宇宙船に乗って地球に様子を見に行くことにした。


こうして宇宙人は、遠く離れた惑星の上空にいる。母星とは似ても似つかない青い空に四方を囲まれ、重力に圧倒されながら。宇宙人は星全体をよく見渡し、人間に見つからない大気圏と宇宙圏の間から友人を探した。しばらく目を凝らしていると――見つけた。


随分とやつれてくたびれているが、懸命にふよふよと宇宙圏を目指している。小型船と手を振る母星の仲間を見つけるとうれしそうにぽうっと輝き、こちらに向かってきた。宇宙人も喜びで友達と同じくらい強く瞬き、早く近づこうと宇宙船を動かした。


ところがその瞬間、はるか下でまぐわう一対の人間から無数の手が勢いよく伸びてきた。

そして宇宙人が止める間もなく、むんずとつかまれた仲間はものすごい力で人間の体内に引きずり込まれていった。


眼下で起こった突然のできごとに宇宙人はぼうぜんとした。ただかき乱された白い雲だけが、静かに舞っていた。

の親しい友人は、一向に戦争や差別がなくならない地球の現状に業を煮やした。そして未開の悲しい星から争いをなくすために旅立ったのだ。宇宙人基準でも長い年月が経っているが、その友人からの連絡は一向に来ない。


単に忘れているだけならまだいい。でも争いごとに巻き込まれたり、事故に遭って帰れなくなっていたら大変だ。心配になった宇宙人は他の仲間たちと相談し、小型の宇宙船に乗って地球に様子を見に行くことにした。


こうして宇宙人は、遠く離れた惑星の上空にいる。母星とは似ても似つかない青い空に四方を囲まれ、重力に圧倒されながら。宇宙人は星全体をよく見渡し、人間に見つからない大気圏と宇宙圏の間から友人を探した。しばらく目を凝らしていると____見つけた。


随分とやつれてくたびれているが、懸命にふよふよと宇宙圏を目指している。小型船と手を振る母星の仲間を見つけるとうれしそうにぽうっと輝き、こちらに向かってきた。宇宙人も喜びで友達と同じくらい強く瞬き、早く近づこうと宇宙船を動かした。


ところがその瞬間、はるか下でまぐわう一対の人間から無数の手が勢いよく伸びてきた。そして宇宙人が止める間もなく、むんずとつかまれた仲間はものすごい力で人間の体内に引きずり込まれていった。


眼下で起こった突然の出来事に宇宙人はぼうぜんとした。ただかき乱された白い雲だけが、静かに舞っていた。

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