自称三流魔女、弟子を取る
@Tsumutsumu256
冷たい冬、小さな命
「驚いた。久しぶりのお客さんだと思ったら、倒れた子供が1人とは」
日が入り込む隙もない暗い森。
日課の散歩…じゃなくて、見回りをしている時、物音を聞き、向かってみた先にいたのがこの子供。
「おい、生きてるか?」
柔らかく、氷のように冷たい頬をペチペチ叩く。すると、白い息を少し吐き出し、呻いた。僅かながら反応があった。どうやら生きてるようだ。
ひとまず胸を撫で下ろし、どうするか思案する。
ここは、私が支配する領域。
見渡す限り森が広がる、クソみたいに不便な場所。一番近場の村でも、100kmは軽く超える。
季節は冬。辺りは積もった雪が白く輝いている。今も立ち止まってるから体が冷えてきた。
「…しょうがない。連れて帰るか」
軽く、そして少し温もりを感じる小さな身体を持ち上げて、足早に来た道を戻った。
いやほんとに軽すぎだろ。こんなもんなのか?
白い息が、空に立ち昇った。
ーーー
「……ん」
ここは何処だろうか。
ぼんやりとする意識で、辺りを見渡した。橙色に輝く炎が、うっすらと暗い視界を占領する。
徐々に晴れゆく思考の中、ここが家の中であることが分かってきた。
そうだ。僕は冷たい冬の森で力尽きて、それから…それから?
「おや、ようやく気がついたようだね」
静寂に慣れていた僕の鼓膜を、女の人の声が震わせた。
びっくりして、大きく身体を震わせた。その拍子に、身体のバランスを失った。
やばい!落ちる!
「っと、そんな驚かなくてもいいじゃないか」
「…あれ?」
人の腕ではない。何か柔らかい感触が身体から伝わってくる。目を開くとそこには何もない。
身体を起こそうと力を込める。ふんわりとしていて、力が入らない。
「さ、落ち着いて。そんなに慌てなくてもいいからさ」
そう言って、女の人が優しく抱えて、元の場所に戻してくれた。
「あ、ありがとうございます」
「いいっていいって、困った時はお互い様だろ?…ところでだけど、何処まで覚えてる?私が助けたことは覚えてる?」
「いえ…寒さで意識がなくなって…今気がつきました」
「なるほどね。君は何処から来た?そしてどうして、あんな場所で倒れていた?」
「…先に、貴方の事を教えてくれませんか?」
「おっと、そうだね。先にこちらが名乗るべきだね」
そう言って立ち上がり、机に立て掛けてあった杖を手に持ちこう言った。
「私は、テレン。自称三流の魔女さ」
自称三流魔女、弟子を取る @Tsumutsumu256
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