第8話
次の日は森には行かなかった。
ばあちゃんは何も言わない。
俺も何も言わなかった。
その次の日のことだった。
居間にいたばあちゃんが突然言った。
「来るぞ!」
その時、窓ガラスを破ってなにか飛び込んできた。
それはあの生きた人形だった。
俺は慌てて猟銃を取りに動き、ばあちゃんは近くの台所に逃げた。
猟銃を手に取り戻ると、ばあちゃんと人形の少女が向き合っていた。
ばあちゃんの手にはフライパンが握られていた。
俺は猟銃を構えようとした。
すると生きた人形がふらりと宙に浮かんだ。
そしてばあちゃんの顔の前に来た。
ばあちゃんがフライパンを思いっきり人形めがけて振り下ろした。
音とともにフライパンが人形に当たった。
しかし人形少女はぴくりともしなかった。
年老いた女性の力とはいえ、力任せに振り下ろされたフライパンが直撃しても、微動だにしないのだ。
そしてバキッ、という音が響いた。
人形少女が小さな手でフライパンに抱き着き、フライパンを二つに折ったのだ。
すごい力だ。
あの力で抱き着かれたら、生身の人間などひとたまりもないだろう。
ばあちゃんがフライパンを落とした。
人形の少女はばあちゃんの顔の前に浮いたままだ。
「撃てえっ!」
ばあちゃんが叫んだ。
しかし小さな人形の先にはばあちゃんの顔があるのだ。
撃てるわけがない。
「早く撃たんか!」
俺は撃てなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます