この作者様の文章は、周りの喧騒も景色も全て奪ってしまうほど物語の世界へ引き込む質ですが、本作も同様です。「葬儀屋」とされる組織に居て、守りたい存在を守らんと歯を食いしばる主人公ですが、彼の胸中の叫び、慟哭、嘆願、声にはならない感情が痛いほどに伝わってきます。物語は始終、謎に包まれたような不思議な感覚を覚えさせながら進み、激しさと、常に変わらずそこにある静かで堅固な想いが共存しながら読者の前に現前します。一度、二度、読むたびに感想が変わりそうな深い作品です。