父母と叔父叔母

第1章 正しさと呼ばれていた日常

父母は、私の小さい頃は厳しかった。

それが正しいのだと、悪いのはいつも私なのだと、そう思うしか逃げ道はなかった。

違うのだと分かったのは、ずっと後のことだ。

昔の父は、暴力が当たり前だった。殴ることも蹴ることも、日常の一部だった。

一つでも気に食わないことがあれば、泣き疲れ、倒れるまで手を上げられた。

母は父ほどではなかったが、飯を与えられなかった記憶が強く残っている。

私は靴下の毛糸を食べていた。

それで腹が満たされるはずもないことを知らなかった。

ただ、何かを食べなければ死ぬということだけは分かっていた。

飢えで倒れそうになると、許され、飯を食べることができた。

それが、私の日常だった。


第2章 呼び名が変わる場所

私には、二人の兄と一人の姉がいる。

そのうちの一人、次男が娘と息子を連れて家に来ることがある。

そういう時、私の父母は叔父と叔母になる。

声は柔らかくなり、呼び名も変わった。

転べば泣き止むまで癒し、危ない場所へ行けば一緒について行く。

私には分からない。

なぜ、父母ではなく叔父叔母と呼ばれるだけで、態度がここまで変わるのか。

なぜ、私はそれを外から見る側なのか。


第3章 置き去りにされた時間

私が苦しんできたものは、一体何だったのだろうか。

厳しさだったのか、正しさだったのか、それとも親という役割そのものだったのか。

人は立場が変わると、同じ人間でも別の顔を持つ。

では、その変わる前を生きてきた者は、どこへ行けばいいのだろう。

変わった先で優しさを受け取る人がいる一方で、

過去の時間を生きた者だけが、そこに残される。

私は長い間、その理由を考え続けてきた。


第4章 今の私から、次へ

今の私は、あの頃の自分から少し離れた場所に立っている。

今では、わずかだが感謝している。

受けてきたものが正しさではなかったと、気づくことができたからだ。

もし子供を授かることがあるなら、

同じ役割をなぞるのではなく、

優しさを選んで育てていきたいと、心から思っている。

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