可能性のサラリーマンだぉ🌼

「……何これ、機体が勝手に共鳴している!? 操縦桿を通して、誰かの『叫び』が流れ込んでくるわ……っ!」

有明海の干潟に立ち尽くす赤い有人MA、**GA-TAL GEAR(ガタルギア)**の装甲が、これまでの電子的な発光とは明らかに異なる、鈍く、それでいて神々しい銀色……「ガタニウム」特有の輝きを放ち始めた。七海 和歌は、コックピットのモニターが血のように赤く染まり、未知のインターフェースが展開されるのを見て、その身を震わせた。 


その輝きの源泉は、システム・ポッドの中で黄金のタイツを歪ませる仲田 事務局長の腹部だった。


「う、うあああ……! 胃が……私の胃が、ガタニウムの共振でサイコフレーム……じゃなかった、サイコな痛みで発光しています……っ! 胃痛レベルが、もうMAX(マックス)を超えて計測不能(エラー)です……っ!」 

彼の限界サラリーマンとしての長年の疲弊と、バイオ・パーツ化されたことによる過負荷が、機体の「胃袋直結(ストマック・シンクロ)システム」を介してガタルギアの深層領域をこじ開けていた。 


「おいおいおい、この演出はアウトだぜ🌸」

堤防の影で『ワラスボ・ポーチ』のモニターを見つめていた山本 マキが、戦慄した表情でキーボードを叩いた。 


「あたいのセンサーが、機体から溢れ出る『可能性の残滓』を検知したんだぜ🌸 装甲が割れて、中からガタニウムの結晶が飛び出してきたら、完全に某・白い悪魔の後継機のパクリだぜ🌸 起動コード『CICO(チコ)』が、おっさんの胃痛に反応して『NT-D(ナカタ・タミー・ディザスター)』を発動させるなんて、法務部がデストロイモードで攻めてくるぜ!🌸」 


「わぁぁ🌼 仲田さんのお腹が、とってもキラキラしてるぉ🌼 幸来も、おまじないをかけるぉ🌼」

鹿島 幸来は、いつの間にか『ムツゴロウ・ショルダー』の奥底から、古びた、しかし荘厳な雰囲気を漂わせる缶詰を取り出した。彼女はそのラベルに書かれた謎の数字を、澄んだ声で読み上げる。 


「6256(ムツゴロウ)……だぉ!🌼」

その言葉がトリガーとなった。ガタルギアの機体各所から、ムツゴロウのヒレのような放熱板が展開され、機体は「MT-P(ムツゴロウ・プロテクション)」という名のパンドラの箱を、ついに半分だけ開きかけた。 


「(通信音)……仲田、そのまま耐えろ。君の胃壁に刻まれた、鹿島市民の悲願を解放するんだ🥷」

泥の中から、**REDDAS WRSB(レダス・ワラスボ)**のシリアスな声が、銀色に輝く戦場に響き渡った。 


「(通信音)……和歌が海苔の塩分に溺れ、君が完食のプレッシャーに耐えるこの瞬間こそ、真の『ガタルギア』が目覚める刻(とき)だ🥷 見ろ、有明海の泥が、可能性の獣を祝福しているぞ🥷」


「REDDASさん……! 私は、私は獣じゃありません! ただの、ただの胃弱な事務局長なんです……っ!」

仲田の絶叫が、銀色に染まった干潟の夜を切り裂いていった。

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