泥(ドロ)ビットを素手で捕まえるだぉ🌼

有明海の夜空を切り裂く赤い光。七海和歌が放った月額制(サブスクリプション)の誘導兵装「泥(ドロ)ビット」の群れが、精密な機動で獲物を追い詰める。それはかつて和歌が味わった屈辱を、電子の殺意へと変換したかのような執拗な包囲網だった。 


「……終わりよ、マキ。私のライセンスは今、最高ランクのプラチナプラン。あなたの逃げ場は、演算上どこにも存在しないわ」


「おいおいおい、冗談じゃねーぜ🌸」

堤防の突端で、山本マキは『ワラスボ・ポーチ』のモニターに映る絶望的なアラートを睨みつけた。


「あのビットの軌道、某・宇宙世紀の『サ〇ビー』が使ってたファン〇ルそのままだぜ🌸 あたいらの命が奪われる前に、著作権の鉄槌でこの干潟ごと消滅させられる方が先だぜ!🌸」 


「わぁぁ🌼 マキちゃん、お空に美味しそうなエビさんがいっぱい飛んでるぉ🌼」

隣で鹿島幸来が、キラキラと輝きながら迫りくる殺戮兵器を見て、目を輝かせた。彼女は『ムツゴロウ・ショルダー』から取り出したばかりの「三杯酢」の小瓶を手に、身を乗り出す。 


「(通信音)……よせ、幸来! あれはアニマの最新エネルギー波形を纏った高密度ガタニウムの塊だ🥷 触れればその瞬間に、君の存在そのものがデジタル分解されるぞ🥷」

泥の中に潜伏する**REDDAS WRSB(レダス・ワラスボ)**の警告が、かつてないほど鋭く響く。 


「(通信音)……マキ、今すぐ幸来を下がらせろ。あれは物理法則を超えた……むっ!?🥷」

次の瞬間、伝説のエージェントは言葉を失った。


「えいっだぉ!🌼」

幸来がひょいと手を伸ばした。超高速で飛来し、回避不能のはずだった「泥ビット」の一基が、あたかも自分から飛び込んだかのように幸来の掌の中に収まっていた。


「わぁぁ🌼 活きのいいエビさんだぉ🌼 これ、お塩をかけて焼いたら美味しそうだぉ🌼」


「な、何ですって……!? 私のサブスク・ビットが……素手でキャッチされた!? 接続エラー、応答不能……うそ、マニュアル・インターセプト(手掴み)なんて、私のゲーミング理論には存在しないわ……っ!」

ガタルギアのコックピットで、和歌の絶叫がこだまする。 


「……マジかだぜ?🌸」

マキの口から、ポテトチップスが零れ落ちた。


「あたいのポーチの計算によれば、今の捕獲成功率は0.0000001%以下だぜ🌸 これ、某・格闘ゲームの当身技(ジャストディフェンス)のパクリ設定だとしても、あまりに無理がありすぎるんだぜ!🌸」 


一方、暗黒観光協会の地下では、仲田事務局長が黄金のタイツに包まれた体を丸め、胃を押さえて悶絶していた。 

「う、うあああ……! 幸来さんがビットを捕まえるたびに、私の管理サーバーに『規約違反:不正アクセス』の通知が来て、胃壁がバイブレーション機能付きのコントローラーみたいに震える……っ! 助けて、REDDASさん……っ!」

中年の悲哀を煮詰めたような悲鳴を無視し、幸来は二匹目、三匹目の「エビさん」を素手で狩り始めた。鹿島の夜を彩る赤い光は、一人の少女の「幸運」という名の暴挙によって、次々と沈黙していった。 

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