仲田事務局長の胃壁崩壊日誌:中編

「……はぁ、はぁ。私の足が、ガタニウム合金のように重い……」

暗黒観光協会(K.T.A.)の地下深く、発電室。仲田(なかた)事務局長は、巨大なハムスター車のような自家発電マシンの中で、死に物狂いで足を進めていた。 


「あら仲田さん、ペースが落ちているわよ? 私たちのティータイムのための電力が足りなくなってしまうわ」

マダム・グラツィアが、モニター越しに優雅に告げる。 


「グラツィア様……マキさんがメインブレーカーを落としたせいで、なぜ私が人力でサーバーを維持しなければならないのですか……っ! 私の胃が、摩擦熱で発火しそうです……っ!」 


『いいじゃない、仲田さん。これも魂(アニマ)の錬成よ。あなたが走れば走るほど、GA-TAL GEARのデータが保護される。あ、ちなみにあと10分でマダム・アルモニアの「ワラスボ・ダンス」のライブ配信が始まるから、電圧を1.5倍に上げてちょうだいね』 

開発責任者のマダム・フォルツァが、冷酷な追加オーダーを叩き込む。 


「(通信音)……耐えろ、仲田。君の脚力による発電が、マキのハッキング回線を支えている🥷」

泥の中から、**REDDA WRSB(レダス・ワラスボ)**のシリアスな通信が入る。 


「(通信音)……今、有明海の泥の抵抗を利用して、君の発電リズムを暗号化している。このまま回し続けろ。君が止まれば、鹿島の未来も止まる🥷」


「REDDASさん、無茶を言わないでください……! 私の胃が、時速200キロでオーバーヒートしています……っ!」 

一方、その電力をちゃっかり利用している幸来(ゆき)とマキ。


「わぁぁ🌼 仲田さんのおかげで、お部屋の電気がとっても明るいぉ🌼 幸来、今のうちにホットプレートでお餅を焼くぉ🌼」 


「おい幸来、それ完全に仲田のオッサンの命を削った熱量だぜ🌸 某・有名サイバーパンク作品のパクリみたいな電力搾取構造に、あたいの良心が微かに痛むんだぜ🌸」 

山本マキは、ポーチの画面を眺めながらツッコミを入れた。


「だが、この安定した電力供給……。和歌(わか)の追跡を振り切るには絶好のチャンスだぜ🌸 仲田、その胃壁が崩壊するまで走り抜けなぜ!🌸」 


「う、うおおおお! アニマの御心のままに——!!」

仲田事務局長の絶叫が、地下室に虚しく響き渡った。

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