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連休が終わろうとしている。やらなければならなかった神社巡りは、少しを残して完了した。行きたい場所は軒並み年末年始休暇で締まっている。だから最終日は家に籠ってゴロゴロする。
やり残してた事と言えば読みかけの本を読む事だけだった。だが重い腰が上がらず、スマホを淡々と弄るばかりである。
朝起きて、家事を済ませ、やる事を終えた後、鏡花はごろりと床に横になり、淡々とスマホを弄っていた。しかし突如顔を上げると、気怠い声でこう言った。
「……映画見たァい」
鏡花の趣味は映画鑑賞という訳ではない。ただ惹かれた物に対しては映画館に足を運び、数時間を費やすという事をしている。どうやら今回もお眼鏡に適った様である。
「ね!! 瑠衣たんもそう思うでしょ?」
何の映画かも示されて居ないのに、同いを求められても。そう思って瞬きをすると、鏡花がすかさず補足を加えた。
「〇プリカだよ」
あぁ、あれか。俺達が小学生の頃に全国上映された、どこか奇妙な映画。彼奴が好みそうな不可思議で、起承転結が捻れた不条理な世界は、台詞までもが何処かおかしい。俺も興味は持っていたから、行くのもやぶさかではない。だが
「今日は出掛けるなよ」
鏡花は歳を重ねてから、体力的にも、内蔵的にも、神経的にも余りにも脆くなった。多少の暴飲暴食、筋トレ、素肌に至るまで回復が間に合わない事がある。つまり、最終日くらい行動を制限しておかないと、すぐにでも倒れてしまう。そのところ、俺と真逆な生き方をしている。
すると一度ムッとした後、気を取り直した様にこう言った。
「知ってるよーだ。其れに見れるかどうかも分からないしね」
うん?
「座席取れるか分からないから。意外と人気なんだね」
あぁ。なるほど。かなりマニアックな映画故に、座席が埋まるなんて事はないと思っていたが、コアなファンがいるらしい。
未だ不貞腐れている鏡花に対して、俺は淡々と続ける。
「人気なら、また生きてるうちに上映されるかも知れないだろ」
あまり焦るなよ。
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