誰かの五秒を、そっと観察したときのこと

@2ki4_ma4

画面の中で音楽の推しが見つかった五秒のこと

画面の中で、音が響いた。

何かが波紋を広げる。歌声、楽器、もしくは夜の旋律だ。境界が溶けて、私の耳の奥で、知らない記憶が芽吹く。

古い森の影に潜む音。

雨に濡れた獣道。

誰も踏んだことのない場所へ続く、一筋の光。

音は層になり、ひとつの生き物のように呼吸していた。それは優しくなく、慰めでもなかった。透明な痛みそのもの。画面越しに、遠い旅路の始まりを告げる風が吹いた。風が、扉を押し開ける。

もう閉まらなかった。

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