第27話共通バッドエンド②「貴女は誰?」
目を覚ますと知らない部屋だった。ああ、そうかここは聖女様の部屋か…と頭を回す。
窓から差し込む朝日。そんな朝日を眺めていると椅子にアレンが座って眠っていた。
あれ、昨日何があったんだっけ…と色々と思い出す。
ルーファスと話していたら突然アレンに捕まって…あ、そうだ、ルーファスと目を合わせたら急に眠気が…
と思い出してハッとした。
「チカ!!」
妹が連れ去られた。地下牢だ、とルーファスの言葉を思い出しすぐに向かおうドアへ走る。
ドアノブに手をかけようとすれば地面から見覚えのある鎖が勢いよく現れて手を引っ込めた。
「だめだよ、部屋から出たら」
「、!アレン…!」
いつの間にか後ろにいたアレンは先程ドアノブに触れようとした彼女の右手を掴む。
「離して!チカのところに行かないと!」
「行ってどうするの?君はチカちゃんを助けられるの?」
「!」
思い出すのは前回自分が死んだときのこと。大切な妹との約束を破り、自分勝手な行動した愚かな自分は結局死に、彼女を守れなかった。
そんなユウはアレンに言い返せず、俯いてしまった。
しまった、とアレンは彼女の肩に優しく手を置く。
「言い過ぎたね、ごめん。でもユウをここから出すわけにはいかないんだ」
「…どうして」
「君は聖女様だから。罪人には会わせられない。大丈夫、チカちゃんは俺が何とかするからユウはここで休んでて」
「…い」
「何か言った?」
小さくてよく聞き取れない、とアレンは言う。
今、なんて言った?何も知らない、何もしてない、妹が罪人?冗談じゃない、と姉の拳は震える。
「私の妹を罪人呼ばわりするな!お前なんか信用するか!嫌いだ!この世界も!お前も!妹に酷いことをするやつは皆嫌いだ!!」
「っ、ユウ、落ち着い…うっ」
ゴッ、とユウはアレンの大切なところに蹴りを入れる。「へへーん!弱点は信用するもんだね!じゃあね!」とユウは走って部屋から出た。あまりの痛さに悶絶するアレンはか細い声で彼女を呼ぶ。
「ゆ、ユウ…だめだ…俺を信用して…」
*
ここは地下牢、「チカ!チカどこ!?」とユウは廊下を走る。どこにも見当たらない。焦る彼女はとある牢屋から赤い血が流れていることに気づく。どくん、と心臓が嫌な音を立てる。確認しなきゃ、確認したくない、と脳が警笛を鳴らす。
震える足でその牢屋の前まで来ると、
「うっ、ち、チカ…」
命より大切な妹の首が切られて彼女は横たわっていた。
し、死んでない、よね…?と声にならない声で手を伸ばす。触れると固くなった身体に現実を突きつけられる。
「ああ…、あああああああ…!!!!うわああああああーーー!!!」
妹が死んだ…!私のせいで…!私が余計なことを言わなければ…!!!
牢屋の鉄柱を掴み、ずるずると床に座り込む。
ひとしきり泣いた後にふとユウは思いついた。
もう一度死ねばやり直せるのではないか、と。
藁にもすがる思いだった。彼女は当たりを見渡すが刃物もなければ何か道具があるわけでもなかった。
し、死ぬ…自分でやらなければ…と立ち上がると
「私が助けてあげようか?」
「!!!」
後ろから耳元で囁かれた知らない女性の声。気配がなく、ユウは驚いて振り向こうとすれば「振り向いたら殺す」と言われ止まってしまった。
「あら、死にたくなかったの?そうよね、死ぬのは怖いわよね。私もよく分かるわ」
「…貴女は、誰?」
「さあ、誰でもいいわ」
くつくつ、とお淑やかに笑う声。
「安心して。私は貴女の味方よ」
「み、味方…?」
「ええ。どう?貴女さえ良ければ、あの子を助けられるわ」
甘い甘い誘惑だった。でもそれでも良かった。例え毒だとしても、罠だとしても愛しいあの子を救えるなら何だってする。
姉は迷わずに返事した。
「助けて!チカを助け…」
その瞬間、後ろの女はユウの背中から心臓へ短剣で刺した。噴き出る血が床を赤く染めていく。
「ぐっ…」と苦しそうに呻くユウは霞む視界に彼女を見た。
緑の長い髪の少女。
「死ねばこの世界はやり直せる。とても便利よね」
「…おま、え、は…」
「…」
少女は冷たく彼女を見据えると言った。
「貴女は愚かね。正義のカケラもない、エゴと偽善の塊。…次はもっと周りに頼った方がいいわ」
そう言い切る前にユウは目を閉じた。
乙女ゲーの世界に聖女様として召喚されたけど興味ないので妹に譲ります ゆずぽんず @panchi0127
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