第6話ゲームとは違うシナリオ

フィルが去った後、木の板の椅子に座る姉妹。妹はすっかり落ち込んでしまった。



「チカ、大丈夫やで。お姉ちゃんがなんとかしたるから」

「うん…」

「フィルも言っとったやろ。すぐに死刑にならんて。その前に話を聞いてもらえれば…」

「…私の知ってる乙女ゲーやない…」



へ、と姉は固まる。

どういうことか聞けば妹は言った。



「私、このゲーム、ほんまに最初の方しかやってないんよ。けど聖女様として召喚されたらすぐに王様に紹介にされるんだけど牢屋に行くなんて…」

「それはさっきも言ってたけど…でも姉妹で召喚されたさかい、こっちにきたんやろ?」

「そうなんだけど…まさかゲームとは別の話になるなんて…」



しゅん、と妹は小さくなった。

なるほど、牢屋にぶち込まれて、挙句攻略対象に疑われ嫌われそうで落ち込んでるのか、と姉は理解した。

ならば、と姉は妹の肩に手を置いた。



「そりゃ、乙女ゲーの世界やから攻略対象にチヤホヤされるんやろうけど、これから仲良くなっていけばいいやん」

「は?乙女ゲーは逆ハーレムじゃないんですけど」

「ごめんなさい」

「だから乙女ゲーやれって言ったのに」



じと、妹に睨まれて姉はすかさず謝る。

はあ、とため息までつかれたので姉は妹の機嫌を取ることに専念する。そうこんな時は乙女ゲーってどんな感じなの?と興味津々に聞くのが一番なのだ。



「まあ、最初は攻略対象に疑われるパターンもあるけどさ。このゲームは初めから割と攻略対象には受け入れられてた筈…。聖女様っていう存在だしね」

「ふうん…?こんな疑われてるのに恋愛に発展するん?ようわからんな」

「それがいいんやん」

「(わからん…)」



いやわからんと姉は思うが取り敢えず流しておく。



「今は所謂共通ルートやね」

「共通ルート?」

「個別のルートに行く前に楽しむルートやね。最初はこの共通ルートっていうの読んで、その間選択肢によってどのキャラの√にいくか好感度上げていくんよ」



諸説あり。好感度が関係しないゲームもあります。

「ふーん、あ」と姉が思い出したように声を出した。



「じゃあ私がさっき選択した牢屋にぶち込まれるのは一人か二人かってやつも好感度上げ下げしたん?」

「多分…」

「え、どっちの選択肢もくそやったんやけど」

「うーん、元のゲームにあんな選択肢なかったけどなあ」

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