第4話 お祓いと母危篤

 私は霊能者でも祓い師でもありません。


冊子には一度も件のアパートの記事は書いていなかったのですが・・・


「お話は解りました、どうします?私的には一度、神社でお祓いなんか受けても良いとは思いますが・・・アパートの噂は私も聞いて知っていますが、もう二度と近づかないでくださいね」


「やっぱり何かあるんでしょうか?」お母さんが心配そうに尋ねてきた。


「うーん、うまく話せませんが守秘義務もありまして、でもあのアパートには二度と近づかないで下さい。お祓いどうします?」


「わかりませんけど、これで済まないような気がするので・・・」


「他にも何か、ありましたか?」


「いえ、今のところ・・・でも何か胸騒ぎがするんです」

心配する、お母さん。


「わかりました」

『お祓い 神社』

私は、すぐに神社をスマホで検索して、まず出てきた神社に電話を入れてみました。


今までお付き合いも初めて電話したところです。


「はい、○○神社でございます」女性が出ました。


「ちょっと、お聞き致しますが、お祓いを、お願いできますでしょうか」


「はい何度目の、お問い合わせですか」

「え?」


「よそ様には、お願いされた経験はありますか」


「いえ、ありません、依頼は、お母さんと娘さんの二人なんですが」


「あなたでは無いのですか・・・」

「はい」


「・・・あーはい、はい、本格的な祓いは明日でよろしければ、ただ本日これから、こちらに来ることは出来ますか」


私は目の前の二人に確認を取り

「すぐに伺います」と返事をしました。


「お二人には複数の方と邪気がついている様が

それとあなた、あなたはコチラの鳥居をくぐらないでいただけますか」


「は?」


「わたくし共の敷地に一歩も入らないで欲しいのです、あなたは今日これから忙しくなりますよ、それでは、お二人お待ちしております」


そして『ブツリ』と電話が切られました。

何も事情を話していないのに神社の女性は既に何かが見えているようでした。


「神社の方もう何か見えていらっしゃるようですよ」

「ええっ?」

「すぐに来てくださいとのことです」急な展開になりました。

依頼者のふたりは御礼を私に言うと、そのまま神社に向かいました。


 お二人とは違って行くことを拒否された私は呑気に、その場でコーヒーを飲んでいました、しかしすぐに私のスマホが大きな音で鳴りました。


「シキマルダ様の携帯でよろしいでしょうか」

「はい」

「〇〇病院です、お母様が危篤です、すぐに、いらしゃって下さい」

「!」

病院に駆けつけると間も無く私の母は息を引き取りました。


「お決まりの葬儀屋さんはありますか?」

私は、お世話になっていた施設の方が懇意にしている葬儀社に手配を頼むと20分ほどで病院に来てくれました。


「このまま、わたくし共の斎場に、ご遺体運びますので、車で、ついてきてください」


その後は、とにかく書類にサインしたり急な出費などで、ぐるぐる目が回り夢の中にでもいるような感覚でした。


初日、葬儀社さんが言いづらそうに私に聞いてきました。

「あのー、お支払の方ちゃんとしていただけるでしょうか?」

ストレートな物言いに腹も立ちません。


多分、親戚が一人も駆けつけない様子に葬儀屋さんも不審に思っていたのでしょう。

私もボーっとしていたんだと思います。


「大丈夫です、おいくらでしょうか」


聞けば時代の流れか支払いを分割にしてきたり、まったく支払わないという事例が頻発しているということでした。


 翌日、葬式最中に例の取材した、お二人から連絡がありました。


無事にお祓いの儀式が済んで一安心されていらっしゃるようで

「良かったですね」と私が言うと


「ただ、神社様には、式さんが言ってらした女性の方、いらっしゃらないようです、聞いてみましたけど電話は神主様しか出ないそうで、そういう受付の方や巫女さんなども、いないそうですよ」


「えー?じゃ私、誰と話してたんですか」


「さぁ・・・多分、男性の神主様だと思いますが不思議ですよね」


「あ、わかりました、今チョット立て込んでますので何かありましたら、また教えてください、どうも、ありがとうございましたあー」


「あ、あの、こちらこそ、お世話になりましたぁー」


『あれは間違いない、女性の声だった・・・じゃ俺、誰と話してたんだ?』

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