第8話 ならざるもの1

 取調室でストレッチをしているとコンコンとノックがして知人の生活安全課、小林刑事が笑顔で入ってきました。


「しきさーん捕まったんだってー?あははばちあたって、あははっ」

小林刑事は手を叩いて笑っています。


『コイツ本気で笑ってやがる、くっそー』

「冗談じゃないよー人命救助だっつうの、あんま他人の不幸、笑うもんじゃないよ刑事さん」

私は仏頂面で言いました。


「それがさぁおれ今日、当直で仮眠してたんだけど武藤さんがさぁ今から面白いもの見せるからって何、面白いものって?」

何が楽しいのか目がキラキラしていました。


「知らないけど、たぶん心霊映像だろ、しかもモノホンの」


「おー、そういうの見たことあるよ監視カメラ映像で・・・」


「えっホント?今度、教えてよソレ」


「いいよぉー、じゃ暇なとき連絡入れるわぁ飯くらいは、おごってもらうよ」


「あーぜんぜん了解だよ」これは人間同士のお付き合いです。


「最近なんか情報ないの?」小林が言います。


「えー事案かい今はないなぁ・・・密猟臭いのは聴いてるけど」


そこへ買い物から鈴木刑事が戻ってきました。


「あ、買ってきました」


「すいません、ありがとうございます」私は水を、ほぼ一気飲みしました。


「あ、よかったら、お二人もどうぞ筋子おにぎりは武藤さんの予約だけど」


「いただきまぁーす」小林が、おにぎりを掴みながら、ひやかすように言いました。


「おい鈴木このお方はなぁ確保したが最後、街一番めんどくさい訴訟の鬼、不良中年の式さんだ覚えておけ」


「ハイ大変失礼いたしましたぁ」鈴木さんは始めて笑顔を見せてくれました。


「勘弁してよ、もう昔のことなんだから心象悪いよ」


「あははは」二人共、笑いました。


そこへ武藤さんが戻ってきました。


「はいはい鈴木コンセント入れてくれ」

先程とは、うって変わって鈴木さんはおにぎりを、ほおばりながらリラックスした表情でコンセントを差しました。


ノートパソコンを机の上において問題のカメラデータが再生され始めました。


 映像は2種類ありハンディカムの通常録画と定点・暗視カメラの映像。


ハンディカムにはアパートの外周を撮影するNさんのコメントする姿が映っており

後半から彼が不法侵入で無施錠の101号室に入っていく映像があり、その後の一部始終も残っていました。


部屋の中で見事に黒い人影やオーブと呼ばれる丸い光、イナズマのように走る光、そして時折、人影や顔と思われるものがいました。


問題が多く写っているのは暗視カメラ映像でした。


 その前に撮影されていたNさんの行動の流れを説明したいと思います。


最初は街路にてアパートそのものを望遠で撮影していましたが時刻が0時に近くなってきた頃、無人のはずの101号室の窓から緑色の明かりが見えだして

驚いた様子のNさんはハンディカメラを持って緑色の光を放つアパートの窓をハッキリ撮影していました。


動揺したNさんは慌てた様子で「どうしよう」とコメントしたあと101合室のドアに手をかけました。

ドアは無施錠で運良くといいますか運悪く・・・開いてしまいました。


 明かりがあったはずの内部は真っ暗で遠い街灯の明かりが窓に小さくあるだけでした。


そこへNさんは台所シンク台にハンディカメラを置いて三脚の定点カメラを室内に持ち込み奥の畳の部屋に入り座り込んで様子を伺っていましたが


頭痛が始まったようで呼吸も苦しくなりスマホを取り出しどこかに電話している様子が残っていて、やがて苦しがり倒れてしまいました。

この時、電話していた相手が私です。


 この時の音声も、はっきり残っておりバンバンと窓や壁が音を立てて、まるで他にも誰かが居るような状況でした。

 

 そして、とんでもないものが写っていたのです。

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