水深ゼロメートル

Nowaki Arihara(有原野分)

水深ゼロメートル

水深は呼吸をやめた

それは肺ではなく

記憶だった


ひとつずつ

光が剥がれていく

目を閉じる度に残るのは

見たことのない原始的風景


もがく

という動詞から

主語が消える


(わたしではなかったのか?)


  手の形が

  昨日とちがう

  水が骨の順番を

  変えてしまったから


名前を呼ぶ

光の

けれどそれは

魚のように

舌をすりぬけていく


まぶたの裏に

残像がひとつ

きみの声のようなもの

あるいは言葉のようなもの


呼吸をやめた

泡に紛れて

浮かぶ光


詩がはじまる

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水深ゼロメートル Nowaki Arihara(有原野分) @yujiarihara

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