第16話 公爵令息と決闘することに決まりました
私はなんとその授業の後にまた、学園長室に呼ばれたのだ!
その場の叱責だけではすまなかった……
あんなにちまちま小さいウィンドカッターで訓練したのに……
ガイスラー先生は見た目と違い細かくて陰険だ!
「アマーリア、一体どういう事だ? 昨日も君は私に呼ばれたところなんだぞ!
二日連続で呼ばれるとはどういう事だ!」
バシーンと学園長が机を叩いてくれたんだけど……
名前も呼び捨てだし、学園長にとっては私は早くも問題児扱いだった。
まだ入学したてのほやほやのけなげな一年生なのに!
「誰がけなげなんだ! けなげというのは一年A組のカサンドラさんのような女の子の事を言うんだ!」
私の心の声が漏れていたみたいだけど、
ええええ!
カサンドラって昨日私がお貴族様の洗礼を受けた、あのお嬢様のことだよね。
扇子で私を脅してきた……
あの怖いカサンドラが儚げって学園長どれだけ目が悪いんだろう?
どう見たらそう見える?
本当にそう見えるのならば頭がおかしいんじゃないだろうか?
「誰が頭がおかしいんだ! 誰が!」
「えっ、私そんな失礼なこと言いました?」
学園長が怒りまくっているんだけど、心の声が漏れてしまったのだろうか?
「はああああ、そんなのお前の顔を見たら馬鹿でも判るわ」
「ええええ! だってあの女、学園長の前で猫かぶっているだけでしょ。一年A組では取り巻き連れて可愛い子をいたぶっているそうですよ。それが見抜けないのなら学園長は余程抜けているかと」
「なんだと!」
「学園長話が逸れています。論点はそこではないです」
怒り狂う学園長をガイスラー先生が抑えてくれた。
「ま、なんにしてもガイスラー先生ですらアマーリエさんを抑えられなかったのです。ここはヨーゼフ先生がアマーリアさんの面倒を見ていただくしかないと思いますが」
礼儀作法のオールドミスがヨーゼフ先生を見てくれた。
「まあ、仕方がないの。アマーリアの面倒は儂が見るか」
仕方なさそうにヨーゼフ先生が頷いてくれけれど……
「ええええ! 私、折角だからクラスのみんなと授業が受けたいです」
「な、なんじゃと、アマーリア! 貴様、儂が手ずから教える事は滅多にないのじゃぞ! それを要らないとはどういう事だ!」
今度はヨーゼフ先生が激怒してくれたけど、前世ひとりぼっちだった私はやっと友達が一杯できたのだ。出来たら皆と一緒の授業は多い方が良い。
「ガイスラー先生、お願いします。私もう二度としませんから、皆と一緒に授業を受けさせて下さい」
私は必死に頼んだのだ。
「いや、しかし、アマーリアがいると他の生徒の邪魔になるからな」
でも、ガイスラー先生の一言で私は実技の授業は別になった。
他の生徒の邪魔になるって酷い!
私がその後も散々怒られてとぼとぼと皆の所に戻ったのはお昼の時間になっていた。
バッヘムを弾き飛ばして一年B組が陣取っていた食堂の場所は我ら1年C組の場所になっていた。
そこにはデカデカと『打倒一年A組、栄冠は一年C組の手に!』スローガンが掲げられていたんだけど……
こんな公共の場にこんなの張り出して良いんだろうか?
と私は危惧した時だ。
「ちょっと、これはどういう事よ。あなたたち、こんな公共の場でこんな張り紙を掲げて良いと思っているの?」
そこに噂のカサちゃんが現れた。
「えっ、いや、これは俺たちの心意気で……」
いきなりのお貴族様の登場にアーベルはしどろもどろに答えていた。
「A組には王家からも降嫁されたことがあるヨーク公爵家のフランツ様がいらっしゃるのよ。こんなの書いてただで済むと思っているの?」
反論したアーベルもカサちゃんの勢いにたじたじだった。
仕方がない。やりたくないけれど友達のためだ。
実際に対処したことはないがゲームをやり尽くした私だ。ゲームの時の対処方法は知っていた。
「あああら、猫かぶりのカサンドラさんではありませんか?」
「誰が猫かぶりよ」
きっとしてカサちゃんがにらみ返してきた。
「学園長があなた様のことをはかなげとおっしゃっていらっしゃいましたけれど、今の言葉聞く限りは猫かぶりだと思えたもので」
「あら、ごめんあそばせ。というか、話を誤魔化さないで! そもそも公共の場でこのような物を掲げるなんて絶対に許されないわよ」
なんかカサちゃんは開き直ってくれた。これで私の中で猫かぶりが決定した。
「良いではないですか。単なる標語なんですから」
「良い訳ないでしょ!」
「本当に肝っ玉の小さい伯爵令嬢様なんですね。下々がやる小さいことに目くじら立てるなんて、そんなので伯爵令嬢がちゃんと務まりますの?」
私は何だったか忘れたけれどゲームの世界の悪役令嬢の台詞で言い返した。
「何ですって! あなた、このボーゲン伯爵家の私に意見するって言うの?」
ますますオクターブ高い声で言い返してきた。
「そうよそうよ!」
「それがカサンドラ様に対する態度なの」
「ふんっ、取り巻き達は黙っていてもらえる。今私はカサンドラ様とお話ししているの。取り巻き風情が口を出さないで!」
私の台詞にエーレン等は唖然としているんだけど……もう無視だ。
「な、何ですって!」
「平民風情がこの子爵家令嬢の私に意見するって言うの?」
なんかますます煩くなってきたんだけど、本当に煩いわね。どうしてくれようか?
まあ、でも失敗した。確か悪役令嬢は公爵令嬢だった。一方の私は平民だった。
エーレンが抑えろって言っているけれど、それは前もって言っておいてほしい。
まあもう無視して行くしかないと私が開き直ったときだ。
「何を騒いでいる?」
そこに大きな声がした。
振り返るとどことなくどこかで見たことのあるような顔が見えた。
誰だったっけ?
「フランツ様!」
その声の主に喜んで駆け寄るカサちゃんがいた。フランツって確かヨーク公爵令息だったっけ……いかん。エッダの言うように公爵令息まで出て来てしまったんだけど……これ以上関わると碌な事は無い!
私は顔を隠そうとした。
「アミ、ついに公爵様がいらっしゃつたわ。あなたの出番よ」
エッダが好きに言い出してくれたんだけど、ちょっと待って!
相手はあなたのお父様お勤め先じゃないの?
あなたが対応しなさいよ!
私が目で必死に訴えたけれど、エッダは無視してくれた。
「ほおおおお、お前が平民のくせに最近貴族に喧嘩を売っているアマーリアか」
フランツが私を睨んできた。
「そうなんです。フランツ様。今も私を虐めてくれていたんです!」
なんかカサンドラがぶりっ子してくれるんだけど……あなた今までの威勢の良い声はどこに行ったのよ!
私は叫びたかった。
「何だと、生意気な」
「フランツ様は私の為に決闘してくれますよね」
「まあ、そうだな。その平民女が受けるのならば決闘しよう」
「キャー、有り難うございます。フランツ様」
「これもカサンドラのためだ」
2人がなんか良い雰囲気でいるんだけど……
「アミ、なんかよく判らないけれど、絶対に勝ってよね」
「そうだ。アミ頑張れよ」
「いや、あの、私は受けるなんて一言も言っていないから」
「ええええ! アミ、逃げるの」
「そんな!」
「いや、別に逃げないけれど」
逃げるのかと聞かれたら頷く訳にはいかないではないか……
「なら、放課後に第二訓練室で」
「よろしくお願いします」
私を抜いて勝手にフランツの側近とエーレン等で話がついているんだけど……ちょっと、やるのは私なのよ! 勝手に決めないでよ!
私が心の底から叫んだ時には全てのことが決定していた。
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ここまで読んで頂いて有難うございます
ついに公爵家令息まで一気呵成にやってきました
お貴族様最高位対アミ、結果は?
お楽しみに!
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