魔法の堕天使、降臨す
鹿磨
プロローグ
むかしむかし、あるところに1つの「命」がいました。
「命」は何でも出来ましたが、孤独でした。
周りには暗闇しかありませんでしたから。
暗闇を恐れた「命」は光をつくりました。
不安を恐れた「命」は大地をつくりました。
孤独を恐れた「命」は新しい命をつくりました。
新しい命の形はさまざまでした。
2本の足で歩く者と4本の足で這う者。
言葉を操る者と本能に吠える者。
翼が生えた者がいれば角が付いた者がいて、耳の長い者や、それらをもたない者もいました。
大地に生まれ落ちた彼らと共に「命」は暮らしました。
とても平和でした。
とても愉快でした。
それからいくつかの生と死が繰り返された頃。
「命」はおかしなことに気が付きました。
寿命より早く死ぬ者がいたのです。
命と命が互いを傷つけあっていました。
なぜ?
どうして?
「命」は疑問を持ちました。
生まれて初めての悩みと痛み。
「命」は観察をしました。
争いは外見の違う者の間で起きていました。
同じ特徴を持つ者がそれぞれ集まって、別の集団を攻撃しているのです。
「命」は理解出来ませんでした。
争うために違いをつくったわけではありません。
違いがあれば楽しいと思っていただけです。
このままでは皆、死んでしまいます。
困り果てた「命」は、一番最初につくった新しい命たちと相談しました。
不要な死を嘆く者同士。
難しい顔をして案を出し合います。
そして、それぞれの領地をつくることが決まりました。
命を住み分けたのです。
これで争いはおわる。
そう安心した「命」でしたが、そう簡単にはいきません。
今度は領土争いが起きてしまいました。
またもや相談をする「命」たち。
繰り返される戦争と対策。
何年も過ぎて、何人も死にました。
そうこうしているうちに、角や翼をもたぬ者たち「ヒューマン」が絶滅の危機にさらされました。
「命」は争いは止められないものだとしりました。
諦めた「命」は決意します。
わたしが世界を守ろう。
わたしが世界を管理しよう。
「命」は大地から離れました。
最初につくった新しい命たちを連れて、誰にも邪魔されることのない天空に国をつくります。
そして、「命」は自身を「女神」と名乗り、最初につくった命には「天使」と名付けました。
彼女たちは平和のためにがんばりました。
混沌には秩序を。
無知には知恵を。
飢餓には豊作を。
生命の危機には力を。
そうして、世界の調和を保つことにしたのです。
それからしばらくして。
生命の循環がうまい具合に繰り返されて。
文明ができ、国ができ、宗教が生まれました。
その頃になると世界の管理は天使が行っていました。
沢山の目があった方が良いという女神の判断です。
女神の仕事はただ世界を見守るだけになっていました。
それが間違いだったのでしょう。
運命は終わりを告げたのです。
天界は滅んでしまいました。
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