パソコンと歴史シミュレーションゲームが趣味の、平凡なサラリーマン・田中。
戦国時代の智略と駆け引きに憧れ、様々な知識を持っていたが、平和な現代でそれを活かせるような場面などあるはずもなく……
只々、平凡で退屈な毎日を送っていた。
……のだが、古びた『鈴付きの髪留め』を拾ったことで、彼の運命が変わり始める。
信号無視のトラックに跳ねられ(?)て……気づけば、稲刈りの終わった田んぼのど真ん中。
訳も分からぬうちに引っ立てられて、連れて行かれた屋敷。
そこにいたのは……なんと、織田信長だった!
信長に気に入られ、占術者として迎え入れられた田中。
今こそ、歴史チートの力を見せる時!
戦国時代へタイムリープした彼の快進撃が、今、始まる!
この作品は、退屈な日常を送っていた青年の田中君が、偶然拾った鈴付きの髪留めをきっかけに戦国時代へ迷い込み、織田信長と出会うところから物語は大きく動き出します。
戦国の世界で、いわゆるここでは未来となる知識を語った彼は「占術者」として迎え入れられますが、工業高専で培った実務的な発想や歴史ゲームで得た視点を武器に、内政や戦の在り方へ関わっていきます。
もちろん彼が知っている現代技術を持ち出し、実現するのですが、本作の魅力はそれだけでなく、現代人の価値観で戦国の残酷さや人間模様を見つめ直す点にあるのだと感じました。
戦略、政治、人物描写がバランスよく絡み合い、歴史好きからドラマ重視の読者まで幅広く楽しめる痛快歴史ファンタジーです。
平凡なサラリーマンの青年が古い髪留めを拾ったのをきっかけに事故で死亡してしまいます。そして彼は戦国時代にタイムスリップ!そこで出会ったのがなんと織田信長!未来を語ったことから「占術者」として信長に召し抱えられることに。彼は高専の実用知識と歴史ゲーム経験を活かし、さまざまな新兵器を提案します。また奉行所・診療所・火消し隊・諜報組織などの内政改革も進めていくことに。そして美濃攻め!あっ、関係ないですがちょうどこの前、稲葉山城のぼってきたばっかりなんですよね。なのでここの戦法がありありと頭に浮かびました。手柄を立てた彼は信長から名前をもらい、本格的に彼の天下統一に関わっていくことに。天下統一にむけてのさまざまな出来事に彼はどう活躍していくのか。ぜひみなさんでお確かめあれ。
現代の知識や技術で活躍するというのもいいのですが、現代人の感覚で、戦国人のことを見つめるところがいいです。
たとえば、切腹を前にして、舞いに歌にと、その儀式のためにいろいろとあるのですが、それを冗長と思い最後まで見ずに立ち去る秀吉――いかにもさっさと次の仕事に移り、出世にガツガツしている彼らしい反応です。
で、その場にいる現代人の、実際に敵が切腹している時に秀吉が「すでに陣で別の話をしていた」と語るところがいいと思いました。
秀吉の出世第一の、残酷なところが如実にあらわれていて、それを見る現代人の感覚がクローズアップされていて、凄いな、と思いました。
ぜひ、ご一読を。
この作品の魅力は、単なる歴史転生モノに留まらない 主人公の成長と葛藤 にあります。
田中は歴史好きゲームプレイヤーとしてのスキルを持っていますが、戦国というリアルな世界で 知識と理想のギャップ に何度も直面します。それでも現地の人々と向き合い、時に信念を貫き、時に戦術を捻出する姿は、読者にも等身大の共感を呼びます。
戦国時代という リアルな歴史背景とフィクションの融合 も見事で、織田・徳川・その他大名との絡みが単調にならず、歴史ファンでも楽しめる深みがあります。既存の「転生して最強になる」要素だけでなく、 戦略・外交・内政 といった幅広い視点から描かれているのが特徴です。
大変面白く、読者を飽きさせません。歴史好きはもちろん、戦略系が好きな人、人物ドラマを楽しみたい人にもおすすめです。