異世界×ラーメン!スキル「ラーメン屋」を手にした俺の異世界生活

にじ

異世界転移と醤油ラーメン編

第1話 スキル「ラーメン屋」

ぎいぃぃぃぃ!!!!!

甲高いブレーキ音が耳に入る。俺は横から強い照明で照らされている。


「えっ……」

それは一瞬だった。俺の意識は暗闇に落ちた。



「あれ……。ここは」


俺はふと目を覚ますと森の中にいた。怖くて目をつぶっていたが、さっきまでは国道の横断歩道を渡っていたはず。


「……。異世界転移……?」


周りを見渡していると、異世界としか言いようがないような大きなキノコ、変な虫……。


「ん?」


なんか虫が近づいてきているような気が……。


ヒュン!!


耳に聞こえた風切り音。

「痛った!!」


遅れて痛みが伝わる。加えて遅れてくる熱。患部が熱くなっているのが自分でもわかる。


頬から出血している。急いで逃げなくてはならない事を理解した。


なんとここまで転移してから20秒あまりのできごとである。


「なんだよ。これ。聞いてないよ…!!」


必死になって走る。


その間も追いかけてくるカブトムシのような虫。


麺汰は必死になって逃げるが、全身を切られ傷は浅いが血がダラダラと流れ出ていた。


「助けて……助けてくれ!!」


大きな声で助けを求めるものの、誰からの返答もない。自分の言語が通じているのかも分からない。


「このままじゃスタミナを失ってジリ貧だ。どうすれば……。」


考えながら走るが、その間も切られ続け、もはや痛みを感じず、脳がアドレナリンを出している状態。


「そうだ!異世界だ!スキルがあるはず!ステータスオープン!!」


静まり返った森の中に血だらけの少年と、カブトムシのような虫。麺汰の期待は届かず、残念ながらステータスは開かない。


その後も走り続け、10分が経った頃、ついに麺汰は限界を迎えた。

「痛い……。」


彼の体はもう限界を迎えていた。アドレナリンではカバーしきれない量の切り傷、出血量、加えてスタミナ切れ。


「なんだよこれ……。くそが!!!!」


そう叫んだその時だった。


「おい!大丈夫か!」


男女二人組のペアが微かに目に映ったまま、目の前が真っ暗になった。




「おい!」


「ん……?」


俺は目を覚ます。


「あれ、死んだはずじゃ……。」


周りから笑い声が聞こえる。


「死んでないよ。それにしてもあなた、カブカ虫にやられるなんて……3歳児でも負けないのに。」


またも周りから笑い声が聞こえる。


「いぎでだあぁぁぁぁ。」


俺は涙を流す。


「それにしても、なんでお前さんスキルでカブカ虫を撃退しなかったんだ?」


「スキルってなんですか?」


「「「え!?」」」


「記憶喪失になっているんじゃない?その子。」


「そうだな、とりあえず鑑定するか。」


なんやかんやありスキルを鑑定してもらえることになった。


やはりここは異世界のようだ。スキルなんて前世界にはなかったからな。

「どうしよう……。これでごみスキルだったら。」


「大丈夫だ。必ずみんな戦闘系スキルは1つはもらえるんだ。例えば剣術・槍術・属性系魔法とかな。」


「魔法!!使ってみたかったんだよなぁ!」


この世界には魔法があると知った麺汰。期待が思わず膨れてしまう。


むふふ。これで強いスキルをゲットして、お金を稼ぎまくって大富豪間違いなし!異世界転移もののお約束だよね!!思わずニヤニヤしてしまう。


「それじゃ鑑定するぞ!」


「よろしくお願いします!」


「鑑定」


「結果は……」


「結果は……」

ごくり…。無条件に喉が鳴る。


「「「結果は……」」」

周囲も喉が鳴る。


鑑定スキル持ちのおじさんから結果が出る。

「結果はラーメン屋?だ!」


「「「おおお!ラーメン屋!ってなんだ?」」」


「は?」


佐藤麺汰、18歳。スキル「ラーメン屋」。羽虫扱いの昆虫にも負けるこの異世界でどのように生きればいいんでしょうか。






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