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 試験官の指示に従って異界門を通った俺たちは体になにかまとわりつくのを感じると同時に地球とは違う空気の味を感じ取れた。


「おおっ!ここがロンドなのか!地球とは違って確かに空気が美味しいな!」


「そうね。改善されてきたとはいえ一度も汚れたことのない空気というのは美味しいわね。」


「でも大斗は一度味わったことがあるんだよな?」


「まぁな。」


「羨ましいぜ。マジで。」


「とりあえず…まずは指定された街まで行かないとよね?」


「そうだな。……だがすまん。俺って地図読めないんだよな。二人は読めたりするかい?」


「俺も自信無いかな。」


「はぁ。なら私がやるからしっかり守ってくれないかしら。」


「そりゃもちろんだ!任せろ!」


「当たり前だ。」


 こんな感じでなかなか来れない異世界ということもあり俺たち三人は見慣れない景色について話したりしながら地図にある街へ向かい始めた。


 その道中で話していたそれぞれの出来ることをまとめると結構バランスが取れていると言うのがわかった。


 圭介はチャラチャラしたような見た目からは想像が出来ないがタンク方面の訓練を受けていたそうだ。その時の訓練で覚えた魔技の一つである「カウンター」を使えるという。

 この魔技は剣や杖、槍などでも使えるが、一番恩恵があるのはやはり盾だろう。格上の魔物相手にはカウンターは使えないが、攻撃手段の少ない盾において攻撃のできる魔技は実用性が高くタンクをやる人にとっては覚えたい魔技の一つだろう。


 そして静さんの方は魔術の一つである「ヒール」を使えるそうだ。攻撃魔術こそまだ使えないそうだが正直ヒールを使えるだけでも相当な戦力だと思う。

 俺らみたいなまだまだ異世界に慣れてない人にとっては魔力を消費する魔術や魔技はあまり乱用できない。

 それでも攻撃ならば最悪殴ったりすることでダメージは与えられるが回復となると手段は限られてくる。そんな時にヒール持ちがいれば多少の怪我なら回復できるため非常にありがたいのだ。


 そして最後に俺だが、俺は剣系の魔技が使える。

 と言うよりも、槍はまともに扱えないし魔術の才能もほとんどなかった。盾は乗り気になれず弓はそもそもまともに飛ばない。その結果消去法で剣になったというわけだ。

 だがそんな俺でも一度異世界に行き魔力に触れ合ったということもありほかの人たちに比べて一段階上の魔技を扱えるのだ。

 「スラッシュ」と言われる魔技を扱うことができ、この魔技は魔力の刃を作るというものだ。上位者になれば体から直接刃を作ることも可能らしいが今の俺は持っている剣のリーチを少し伸ばす程度の刃を作れるくらいだ。


 こんな感じでそれぞれの役割を考えた結果、俺と圭介が前衛、静さんが後衛兼補助という形でやっていこうとなった。


 ―

 ――

 ―――

 ――――


 今後のことや世間話をしながら地図に従って歩くこと数十分。無事に街に着いた俺たちは入口にいる兵士に試験を受けてることを伝えると試験中に使えるお金とお店、宿泊施設に案内して貰えた。


 その道中兵士の人から、周辺に出る魔物などを教えてもらった。どうやらここの周辺にはゴブリンやコボルト、そしてたまにオークが出るそうだ。


 目的地に着くと俺たちは案内してもらった兵士にお礼をのべ、早速今回の試験で使う装備を買うことにした。

 今回試験では装備は持って帰れないものの、壊しても弁償などはしなくていいため遠慮なく使えるので結構ありがたい。


 店に着くと俺たちはそれぞれ欲しい装備を探しつつ相談しながら買うことにした。


「まずはそれぞれが一番必要なのは盾、杖、剣を買うでいいか?」


「俺もそっちの方がありがたい。」


「私も異論はないわ。」


「そんじゃ値段を気にしつつも使いたいやつを探してこようか!」


 というわけで俺も使いたい剣を探すことにした。

 一応今回の予算は全員合わせて3万ゴールドであるため一人1万ゴールドを目安にしている。そのため武器に割けるお金は高くとも5000ゴールドくらいだ。


 店頭に並んでいる剣を見ると試験用の店だということもあり高い剣などは置かれていない。少しの間悩みつつ結局俺は3000ゴールドの魔鉱製のショートソードにした。本当はロングの方が良かったが倍の6000ゴールドだったので諦めた。


 そうして剣を取って集合場所に戻ると圭介がいた。


「おっ!大斗はそれにしたのか!やっぱいいよな〜魔鉱製。俺も魔鉱製の盾にしたぜ!」


「だよな。普通の鉄製だと耐久面とか心配だし。」


「確かに。大斗は予算残りどれくらいあるんだ?」


「あと7000ゴールドだな。盾がない分装備を強めにしたくてね。」


「いいね!俺は盾が重要だから装備の方は最低限のにするつもりだぜ!」


「確かに盾を疎かにして壊れたら…やばいもんな。」


「そうそう。あとは静が来たらみんなで装備見に行くか!」


「装備は各自じゃないのか?」


「せっかくのパーティーなんだし装備くらいは一緒に決めたいなと思ってな。ダメだったか?」


「いや、俺はかまわないよ。」


「了解!そしたら静が戻ってきたら聞いてみるか!」


 その後俺と圭介は静さんが戻ってくるまで雑談をして待っていた。そうして少し待つと静さんも杖を決めたのかものを持って戻ってきた。


「静さんも買えてよかった。」


「あら、二人とももう決めたのね。」


「まぁな。それで静は残りのゴールドはどのくらいなんだ?」


「あら?もしかして借りたいのかしら?」


「違うって!この後せっかくだからみんなで防具を買いに行こうかと思ってな。せっかく決めても買えなかったら意味ないだろ。」


「なるほどね。でも私は防具は買いに行かないわよ。」


「え?」


「そりゃまたなんで?」


「防具なんかなくても殺られる前に殺ればいいのよ。防具なんて邪魔なだけよ。」


 そんなトンデモ発言に俺と圭介はたまらず顔を見合わせるのだった。


 ――――――――――――――――――――


【魔技】

 魔力を用いた技であり、自身の魔力回路にある魔力を体に巡らせることで身体を強化するものである。詳しい原理や仕組みは未だ完全に解明はされてないものの、魔術と違い適正の有無はないため誰でも鍛えれば使えるという利点がある。

 一方で魔術とは違い全ては自身の魔力回路にある魔力の量で決まるので格上相手には力負けすることがほとんどとなる。


 ちなみにスラッシュは分類上は魔技であるが性質上は魔術の一つである。

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