公爵家のお祝い【お題フェス11☆その③「祝い」】

暗黒星雲

第1話 公爵家の祝賀会

 私とサナは馬車に乗っています。乗り合い馬車じゃなくて、公爵家からのお迎えです。恐れ多いのですが仕方がありません。お陰様で私の口調も非常に丁寧なものへと変化しています。姫のいるミリア公爵家は、皇室と姻戚関係にある最上位の貴族なのです。なので、建国祭には祝賀会が開催され、多くのお客様(主に貴族)が押し掛けるそうです。私たちのような庶民には縁のない祝賀会なのですが、今年は何と、その祝賀会に招待されてしまったのです。サナと二人で。ああ、皇国において〝学生の正装は制服である〟って習慣があって良かったと思います。庶民の立場で豪奢なドレスなど着れませんから。


「おい。ティナ。そこのウサギは何なんだ? えらくお前にべたべたくっ付いてるぞ」


 私の右肩にいる緋色のヤモリが不満げに呟いたのです。彼女は私の使い魔で火を吐く火竜の眷属。名前はサンドラ。


「さっき説明したでしょ。この子は幻獣のメルト。グラスダース王国の偉い人からプレゼントされたのよ。仲良くしてね」

「仲良くできる訳ねえだろ。そいつは雪ウサギ、雪と氷の魔法を使うとんでもねえ獣だぞ。俺のような火竜の眷属とは相容れない遠い存在なんだよ」


 サンドラは酷く不機嫌です。でも、メルトの方はそうでもなくて私の膝の上でニコニコ笑っています。


「あなたも火竜の眷属なのですから、あなたの主尊に恥じる事がないよう振舞うべきです。私たちは共に大魔法使いティーナに仕える身。私とあなたは属性が真反対だからこそ、お互いの欠点を補うことができるのです。目先の相違に囚われず、私たちが協力体制を気付く事で、より大きな貢献となります」


 サラリと正論をぶちかますメルトです。サンドラはというと、〝ぎゃふん〟って感じでふんぞり返っています。女の子同士仲良くして欲しいものです。


「ところで、リオンも幻獣なんでしょ。どんな能力があるの?」


 馬車の中の雰囲気が険悪にならないよう、話題を変えてみました。サナの膝の上ですやすや眠っている黒猫のリオンですが、この子も幻獣なんだから何かの能力があるはずです。


「うーん。まだ聞いていないんだけど、私は回復系の魔法を勉強しているからそっち系の能力じゃないかな?」

「え? サナちゃんも魔法勉強してるの?」

「そうなの。黙っててごめんね。私は回復系に素質があるからって、エイリアス魔法協会で勉強してるんだよ」

「へえ。そうなんだ」


 グラスダース王国のエイリアス魔法協会は自然との融合を旨とする回復系の魔法が得意な団体。他にもグラスダース王立魔法協会っていうのもあって、そちらは雪や炎を使う攻撃魔法が中心らしいのです。


「ティナがグラスダースに来たら、王立魔法協会のメンバーだよ」

「そうだ。彼女のような優秀な攻撃魔法の使い手は王立魔法協会に引っ張られるだろうな」


 さっきまでサナの膝の上で寝ていたリオンです。


「僕は回復系と補助系の魔法が得意なんだよ」

「回復系は分かるけど、補助系ってどんな魔法なの?」


 私の質問にリオンはあくびをしながら答えてくれました。


「補助系っていうのは、肉体を強化して攻撃力や防御力を高めたりするんだよ。他には敵を探知したり宝箱の中身を判別したりできるんだ。まあ、僕がいれば1000年以上生きた魔法使いもミミックにかじられることもないよ」


 なんかすごいです。補助系って、もしかして最強なんじゃないかしら?

でも、みんなが時々話題にする1000年以上生きた魔法使いって誰の事なんでしょうか? 私にはさっぱりわかりません。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

公爵家のお祝い【お題フェス11☆その③「祝い」】 暗黒星雲 @darknebula

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ