女性しか暮らしていない閉鎖された山村。そこでは毎年秋になると“オン”と呼ばれる存在が外から連れてこられ「男飼」と呼ばれる奇妙な儀式が行われていた……という説明だといかにも因習村を題材にしたホラーのように感じられるだろう。実際「男飼」の一部が描かれる第一話は読んでいて少しエロティックでありながら、思わず「ヒィッ……」といううめき声を上げそうになる怖さを孕んでおり、それ以外でもホラーらしい描写はたっぷりとある。
しかし、こうしたホラー描写は本作の一側面にすぎない。物語は冒頭から、「なぜ『男飼』のような儀式が行われるのか」「外界から隔絶されたこの村はいかにして成り立っているのか」という複数の謎を内包している。そして村に秘められた真実を薄皮を剥ぐように徐々に明らかにしながら、それらを解き明かすミステリー的な魅力も備えている。
この村に隠された情報の扱い方が実に巧みで、村で生まれ育った主人公にとっては当たり前とされる描写が、読者の眼には違和感として少しずつ引っかかり、そうして積み重なった違和感が最終的に氷解する構図が美しい。
フェティシズムが感じられる描写が随所にちりばめられながらも、娯楽性の高い物語としても最後まで描ききっており、作者の技量が感じられるミステリホラーだ。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=柿崎憲)