中条景泰に転生した私。場所は魚津。目の前には織田の大軍。当主も越後に去り、後は死を待つばかり。今日は天正10年の6月2日……ん!?

俣彦

第1話適性検査

「周囲の状況を確認せずに運転する傾向が見られます。」

普通自動車免許を取得するため、自動車学校に入った初日の適性検査で思わぬ指摘を受けた私。

「そんな事無いよね?」

とたまたま同じ日に入校した中学の同級生に聞いたところ

「無いと思うよ。」

の回答に安堵。その後、学科と技能共順調にクリアしていったある日。いつものように自転車で自動車学校へ。途中、申し訳程度に引かれた白線の内側を走っていた私の目の前に電柱が。

「邪魔だな。」

と呟きハンドルを右に切ったところ……。


 気付いたら布団も敷かれていない床に横たわっていた私。体の節々に痛みが走り、何だか疲れている。生まれて19年。こんな感覚は初めてだ……。改めて自分を見てみると……。

(これは甲冑?)

自動車学校に

「甲冑を着て高速教習」

等と言う授業は無かったはず。それに自動車学校は基本鉄筋コンクリート。休憩時間。木の床で雑魚寝するような事はあり得ない。と言う事はここは自動車学校では無い。どこまで記憶がある……。

(電柱を避けるため白線の外。車道に出たな。確かその時……車道を見ずに、はみ出したような気が……。)

もしかして私は事故に遭ってしまったのでは?

となるとここは病院。いや違う。病院でこの扱いはあり得ない。なら自宅か?いや家には一応畳がある。団地サイズではあるが。その団地も木造では無いし、普段は甲冑では無い。となると……。

(私はもうこの世に居ないのでは無いのか?)

辺りを見回すと、皆元気が無い。それどころか何かが書かれた木の札を耳に括り付けようとしている者も居る。

(これが死後の世界と言うものか?)

自分の耳に手をやる。

(私の耳に変わりは無い。)

一体全体どうなっているのかわからなくなっている私に。


「目覚めたか?」

の声が。

「あなたは?」

の問い掛けに

「ん!?お前。兄の名も忘れてしまったのか?」

……私は一人っ子。兄は居ない。

「私に兄は……。」

と言い掛けたところ。

「今はお互い別家の養子だから、厳密には兄弟では無いか?でも今は絶望的な状況なんだから兄と言ってくれよ。」

(ん!?どういう事?)

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