嫌がらせには鉄槌を

「んー、やっと終わった〜」


 ラーシャはぐぅーっと伸びをして、肩を伸ばした。

 明日契約試験があるにも関わらず、フラウはいつも通りの授業や小テストを行い更には宿題まで出してきた。

 放課後になるまでには、ラーシャの頭はパンク寸前になっていた。


「これくらいで根を上げてどうするんですの?来年からは今までの勉強の他に、竜に関する実技も追加されるんですのよ?」


 ニアの言葉にラーシャは机に突っ伏す。


「竜の実技とかの方がいいなぁ…。勉強は苦手」

「勉強しないと、戦闘の時に作戦とか立てられねぇぜ?」

「ソルにだけは、言われたくない…。同じ頭のレベルのくせに」

「竜使いになりたいお前の場合は学力も必要だろうが」

「くっ…、そりゃあ、そうだけど」


 ラーシャはため息をついて、身体を起こす。

 竜使いになって色んな国を巡ってみたい。それはずっとラーシャが描いてきた夢。

 この夢は絶対叶えたい。叶えたいが…。


「苦手なんだよなぁ…」


 そんなラーシャにソルとニアが顔を見合わせると、クスッと笑いあう。

 その時−−バタンッ!


 机が勢いよく倒れる音がして、驚いてその音の方に視線を向けるとクラス一の悪ガキであるフォルテとその取り巻き、ベインとダルテ、グループ紅一点のシーラがセルジュを取り囲んでいた。


「おい、セルジュ。今日お前が遅刻した理由ってどうせ親父に打たれてたからだろ?」


 フォルテがニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら言うと、周りの三人も何がおかしいのか笑い出す。


「…」


 セルジュは何も言わずに倒れた机を起こす。


「その頬の痣ってお父さんの仕業なんでしょ?カワイソー、実の父親なのに」

「愛されてないからしょうがないだろ?」

「こんな家に生まれなくてよかったって、セルジュ見てると改めて実感するよな」


 そう言ってゲラゲラ笑う三人を完璧に無視して、セルジュは鞄に荷物を詰めて帰り支度を始める。

 それを見たフォルテが鞄を奪うと、教室の隅に放り投げた。

 壁に鞄が叩け付けられ、中身が散乱する。


「人がまだ話してんだろ!何帰ろうとしてんだよ!!」


 フォルテの怒鳴り声にセルジュは迷惑そうな顔をすると、教室に散らばった荷物を拾い始める。

 全く相手にされないフォルテは怒りでブルブルと身体を震わせた後、何かを思い出したような顔をしてニヤッと笑う。


「そういえば、お前って疫病神なんだろ?」


 その一言に、セルジュはピクッと身体を震わせた。


「お前のせいで、母親も父親の竜も−「うるさいっ!」


 セルジュが怒鳴るのと同時にフォルテの顔面に鞄が激突した。

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