Let`s learn English words

ヨイクロ

hello another world

first class

「英語なんて、もう二度と使わないって決めたのに…!」


 高校三年の春。英語の追試に落ちて、卒業が危うくなった俺――佐藤ユウトは、教室の隅でため息をついていた。


 そのとき、突然、教室の床が光り出した。


「え、なにこれ――うわっ!」


 気づいたときには、見知らぬ森の中。空は紫、木々は青く、空中には英単語がふわふわと浮かんでいた。


【Welcome to Lexiconia】


「……え、英語?」


 目の前に現れたのは、辞書のような姿をした喋る本。


「あなたの英語力が、あなたの運命を左右します」


「……マジかよ」


 目の前の喋る本――“Lexi”と名乗るその存在は、俺に一冊の古びた辞書を差し出した。


「この世界では、“英単語”を組み合わせることで魔法――“Word Spell”を発動できます」


「は? 英単語で魔法?」


 Lexiが空中に浮かび上がらせたのは、二つの単語。


「Fire」+「Ball」


 その瞬間、空気が震え、俺の目の前に赤い光球が現れた。


「うおっ!? ファイアボール!?」


「正確には、“Fireball”。単語の意味と組み合わせが正しければ、呪文として発動するのです」


 俺はごくりと唾を飲み込んだ。


「じゃあ、たとえば…“ライト”+“シールド”とか?」


「お見事。“Light Shield”――光の盾です」


 目の前に、淡く輝くバリアが展開された。


「マジかよ……英語、すげぇじゃん……でも“ファイアボール”とか“ライトシールド”とか、そんなの中二病の呪文じゃん!」


 俺は辞書を地面に投げ出して、草の上に座り込んだ。


「そもそも英単語なんて覚えられるわけないだろ!中学のときからずっと赤点だったんだぞ!? “accommodateあんなの”とか“entrepreneurこんなの”とか、なんであんな綴りしてんだよ!」


 Lexiは空中でパタパタとページをめくりながら、ため息をついたような音を立てた。


「あなたがこの世界に召喚されたのは、英語が苦手だからこそです」


「意味わかんねぇよ!」


「この世界では、“言葉”が力。あなたがそれを克服すれば、誰よりも強くなれる可能性があるのです」


「……でも、俺、単語帳とか見るだけで眠くなるんだよ……」


 そのとき、森の奥から低いうなり声が聞こえた。


「……な、なんだ今の音?」


「モンスターです。“Wordless Beast”――言葉を持たない存在。あなたの力を試すには、ちょうどいい相手かもしれませんね」


「ちょ、ちょっと待って!? まだ“ファイアボール”しか覚えてないんだけど!?」


「ならば、覚えるのです。“Run”+“Away”――さあ、唱えて!」


「……多分それ、逃げる呪文じゃん!!」

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