英雄対談?
英雄同士、話そうか
俺はこのノエルの言葉が耳からはなれなかった
どっかで使ってみたい
俺はミーナを連れて、
ノエルについて別室へ向かった。
どうやらここは、ノエルの個人部屋らしい。
高級そうな机の上には、ネームカードが置かれていた。
研究所長 ノエル・ヴァレンシア
……所長かよ。
研究書類は多いのに、部屋はやけに整っている。
俺の想像していた“研究者の部屋”とはだいぶ違った。
(魔法があれば、片付けも楽なんだろうな……)
ノエルは簡易ベッドにリオンを寝かした後
手で合図し、俺とミーナを二人掛けのソファに座らせた。
自分は奥の、高級そうな椅子に腰を下ろす。
「――で、なんの用じゃ」
それは、俺が聞きたい。
リオンの意味不明な説明に振り回されて、ここまで来たんだ。
だが正直に言うわけにもいかない。
ノエルの鋭い視線が、俺とミーナを射抜く。
威圧感のある、じいさんだ。
ミーナは緊張しているのか、首元に汗をかき、ローブを脱いだ。
視界の端に、白い肩が映る。
……いや、今それどころじゃない。
先に口を開いたのは、ミーナだった。
「これは……リオンさんへの“試練”ですか?」
(試練って何だよ。俺が聞きたい)
なんでこの子、すべてを試練に結びつけるんだ。
ノエルはすぐには答えず、黙り込んだ。
考えているというより、戸惑っているようにも見える。
質問した側が、質問で殴られている顔だ。
沈黙のあと、ミーナはさらに畳みかけた。
「リオンさんを、英雄にするつもりですか?」
ノエルは完全に言葉を失った。
……この人、優しいな。
人の言葉をちゃんと受け止めてしまうタイプだ。
(いや待て)
俺はミーナが変なことをいっているのに気づいた。
まぁいつも変なことを言っているんだけど
「ミーナ……“英雄にする”って、
どういう意味だ?」
ミーナは少し悩み、間を置いてから答えた。
「えっと……はい。ノエルさんは英雄ですから。
後継者として、リオンさんを選ばれたのだと思います」
ノエルの顔を見てほしい。
完全に、口が開いている。
「ご家族ですし……必然です。
今回の戦いは、そのための試練。
ですが……リオンさんは負けてしまいました」
ミーナは真剣な顔で続ける。
身振り手振りで必死に説明している
「ですので、また別の機会に。
これからノエルさんは、
リオンさんを英雄として育てていくのだと……」
……想像力が暴走している。
「ミーナさんよ」
ようやく、ノエルが口を開いた。
「わしは、リオンに英雄になってほしいとは
思っとらん」
ミーナの目をまっすぐ見て、はっきり言う。
「仮に英雄を目指すとしても、
わしよりリオンを育てるには適任がおる」
俺じゃないよな。
絶対に俺じゃないよな。
「まさか……その
適任とは、バスタル様ですか?」
ミーナが不安そうに俺を見る。
やめろ。
俺を見るな。
「バスタルくんじゃないのぉ」
ノエルはあっさり言った。
「もっと適任がおるからのぉ」
はぁぁ……。
ミーナと俺は、完全に同時に息を吐いた。
だがミーナは、まだ気になったらしい。
「七英雄の中に……バスタル様やノエルさんよりも、適任がいるということですか?」
ノエルは意味深に笑う。
「……そうじゃのぉ。誰とは言えんがのぉ」
(七英雄?)
また知らない単語が出てきた。
だが会話の流れから察するに、
バスタルとノエルは、その“七英雄”に含まれているらしい。
だからあのとき――
「英雄同士、話そうか」なんて、やたらかっこいいことを言ったのか。
……七英雄。
異世界感、すごい。
名前だけで、もうかっこいい。
よし。
次はそこを突いていくか。
俺はそう決めた。
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