幼い悪夢
@macchachann
幼い悪夢
遠い昔、幼いころにトラウマになった夢がある
何故か1人で遊園地にいた私が、サーカスのピエロに勧誘を受けるという内容だ。
真っ赤な帽子に、ダボダボの服に身を包んだピエロは、いつのまにか私に向かって逆立ちをしながら滑稽な動作で勧誘をしてきた。
「君は元からここにいるべきなのだ?早く一緒に仲間のもとに行こう、君を歓迎してくれるよ?」
幼い私は、急に現れたピエロの支離滅裂な会話の意味が分からず、自分が何に勧誘されているかも理解出来ないまま、ひたすら呆然と黙りこくっていた。ピエロはそんな私を無視し、ひたすら勧誘を耳がつんざきそうな不快な声で続けてくる。
しかし、ピエロの勧誘を聞き続けてどれぐらい時間が経ったのか、私はふと、ピエロはしつこく勧誘をしてくるが、具体的に何処に行くのか、どんな同類なのか、何一つ具体的な内容を話さないと気が付いた。
次第に幼い私は、もしかしたらこのピエロは勧誘すること自体が目的なのかもしれないと、だから何を誘っているのか教えてくれないんだと考え始め、やがてその考えが確信に変わった。今考えると、中々ぶっ飛んだ思考だが、夢だからそんなもんだろう。
おいで、おいで、僕と一緒の仲間になろう。ねぇ、一緒に来てよ――仲間だろ私たちは、これから運命を共にする仲だろう?俺はお前をそんな薄情な奴だとは思わなかった。嘘だよ、私は
次第に、定まらない、意味が欠けぽっちもない会話の内容は、ピンクの像がショウをしているようだと思えてきた。そして、そんな意味のない行動を繰り返しているピエロを見ていると、怖いという感情は徐々に薄れていっていった。代わりに、おもしろいという感情が徐々に湧いて出てきた。しかし、そのピエロから得られる面白いという感情は、普段お笑い芸人を見ている時に生じるものとは少し違った。例えばそう、高層マンションの住人がホームレスを見て笑う様に、一般人が成功者のどん底に落ちた記事を見て笑うような、幼い子供の語彙では説明出来ない感情だった。
「ぷくくく、あはは……」
「さあ、早く仲間になろう。なんのだって、そんなの知らないよとにかく僕と一緒になってよ、さぁさぁさぁ」
ピエロは勧誘する、私はそんなピエロを嘲り笑う。それを永遠に繰り返して夢は終わった。
ここまで、こんな夢の内容を聞いてくれてありがとう。
蛇足だが、私はこの夢に1つだけ思い当たる節がある。
記憶にはないが、私は物心ついてまもない頃、1人で黙って公園に遊びに行った際、誘拐されそうになった経験があるらしい。しかし、普段から人道が多い公園だったため、近くに誘拐犯を不審に思った人が警察に通報し、誘拐は未然に防がれ犯人は逮捕されたらしい。
らしいと曖昧なのは、私は本当にその当時の記憶が綺麗さっぱり無いため、全部周りの人から聞いた話だからだ。
特に、両親の私が居ないと気付いた時の混乱は凄まじいものだったらしく、今でも実家に帰った際、毎回しつこく小言を言われる。しかし、流石に犯人についての具体的な情報は、私の無意識のトラウマを刺激すると考えられ、詳しくは教えてもらえていなかった。
しかし、つい昨日どうしても犯人について知りたいと好奇心が出た私は、お話好きの実家の近所のおばさんから強引に犯人について口を割らせることに成功した。
以下が、私が苦労して得た犯人情報である
・犯人は近所に住んでいた、51歳の無職の男だった。
・男は養ってくれていた両親との死別が理由で、重度の精神病を患っていた。
・犯人は最後にこんな内容の供述をしたらしい。
「誰でも良かったから、誘拐しやすそうなあの子を狙った。騒がれるとまずいから、適当に菓子でも匂わせて釣ろうと思った。でも長年まともに口を開いた経験がなかったから、内容が支離滅裂になってしまい、恥をかいた」
以上で私の夢の話はおしまいです。
こんな拙い文章を読んでくれてありがとうございました。
幼い悪夢 @macchachann
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