昇格試験2
朝になり、宿屋の窓から差し込む柔らかな光で目を覚ました。
昨日までの激戦が嘘のように、身体は思った以上に軽い。
(……よし、動ける)
ベッドから起き上がり、軽く体を動かして調子を確かめる。
筋肉の張りや疲労感は残っているが、昇格試験に支障が出るほどではない。
身支度を整え、剣と装備を確認する。
今日はダンジョンではない。
だが、これまでの成果を試される大事な日だ。
「昇格試験、か……」
静かに呟き、宿屋を出た。
朝の街は活気に満ちていた。
商人たちの呼び声、行き交う冒険者たち、鍛冶場から聞こえる金属音。
この街で過ごした時間は決して長くはないが、
それでも少しだけ名残惜しさを感じる。
冒険者ギルドの建物が見えてくると、自然と背筋が伸びた。
扉を開け、中へ入る。
「すいません昇格試験を受けに来ました。」
受付に声をかけると、対応していた女性が穏やかに頷いた。
「はい、準備出来ております。」
その言葉に、胸の奥で小さく気持ちが引き締まる。
「あ、それと……すいません。ダンジョンのドロップ品も売りたいんですけど」
そう付け加えると、受付の女性は少し驚いたように目を瞬かせたが、
すぐに事務的な表情に戻った。
「では、昇格試験を受けている間にやっておきます。」
「ありがとうございます。では」
感謝を伝え、インベントリを開く。
次々と床に並べられていく大量の魔石と素材は、
これまでの戦いの積み重ねそのものだった。
ーーーー
売る物
ゴブリンの魔石×26
スライムの魔石31
コボルトの魔石29
ウルフの魔石61
ハイゴブリンの魔石1
ビックスライムの魔石1
ハイコボルトの魔石1
グレートウルフの魔石2
コボルトの毛皮30
ーーーー
「……ではお願いします」
そう言って軽く頭を下げ、
前に試験を受けた時と同じ場所――訓練場へ向かう。
廊下を進むにつれ、周囲の音が少なくなっていく。
足音だけが響く中、自然と呼吸が深くなる。
訓練場の扉を開けると、
そこには見覚えのある人物が立っていた。
黒い毛並みを持つ、ヒョウの獣人。
以前、ギルドマスターと呼ばれていた男だ。
「よう、前はろくに話せなくて悪かったな。俺はギオンだ。よろしくな」
気さくな口調で、そう声をかけてくる。
「こちらこそ前はろくに挨拶できなくて申し訳ありません。俺はホタルです。」
そう返すと、ギオンは満足そうに頷いた。
「気にするなホタル、よろしく。
あぁ、ちなみに今日の試験管は俺だ。」
「……え?」
一瞬、言葉の意味を理解できなかった。
「おいおい、しっかりしろ」
そう笑いながら言われ、ようやく状況を把握する。
(ギルドマスターが、試験官……?)
だが、考えても仕方がない。
「分かりました。ではやりましょう」
そう答え、剣を抜いて構える。
ギオンもまた、ゆっくりと剣を構えた。
その姿には無駄がなく、歴戦の冒険者の風格が滲み出ている。
「それではこれより昇格試験を始めたいと思います。
命に関わる攻撃を禁止いたします。」
その言葉に、自然と集中力が研ぎ澄まされる。
「それでは――始め」
合図と同時に、雷身体強化を発動。
地面を蹴り、一気に距離を詰める。
(速い……!)
だが、その動きはあっさりと見切られ、
ギオンの姿が視界から消えた。
次の瞬間、背後に気配。
(後ろ――!?)
慌てて身体強化を重ねがけし、
ギリギリのところで剣を振り抜く。
しかし、ギオンは軽く距離を取っただけだった。
「ほう……」
その声には、わずかに感心した色が混じっていた。
追撃するようにファイアランスを連発し、
間合いを詰める。
だが、すべてかわされる。
一発だけ、かすったようにギオンの腕に浅い傷が走った。
それだけだった。
次の瞬間、剣先が喉元に突きつけられていた。
「……そこまで」
静かな声と共に、試験は終わった。
(……負けた)
そう思った直後。
「合格だ」
「……え?」
思わず声が出た。
「何故ですか。負けたのに合格なんですか?」
問いかけると、ギオンは剣を収めながら答えた。
「それはな、元だがAランクの冒険者に、
かすり傷とはいえ傷を負わせられたからだよ」
「……え?」
(元Aランク……!?)
なるほど。
強いわけだと、ようやく腑に落ちた。
納得していると、受付の女性が近づいてきた。
「昇格おめでとうございます」
「ありがとうございます」
そうして受付に戻り、ギルドカードを受け取る。
「では、こちらがCランクのギルドカード、
金貨9枚と銀貨77枚になります。
そして改めて、昇格おめでとうございます」
「こちらこそありがとうございます」
カードを受け取り、深く頭を下げる。
ギルドを出ると、空はすっかり明るくなっていた。
(結構お金も貯まったし、冒険者ランクもCになったし……)
(そろそろ、この街を出てもいい頃だな)
そうして次の街へ向かう決心をして旅の準備をする事にした。
まず行く所は雑貨店だ
何故なら塩などの調味料が欲しいからだ。
そうして雑貨店に向かうのだった。
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