最初にこのお話を読んだ時。軽い!なんとも軽いノリで、思春期男子の我慢が描かれているなぁと思いました。高校を卒業してしまえば解決だよねと、読後感はよかったです。ただ、この話が単体とは思えなかった。なんとなく何か含みがありそうで。ということで、作者さんの代表作を読んでみると、あー納得。というか、代表作とのギャップがすごい。もちろん、このお話単体でも完成されてますよ?ifのお話だったとしても、正三くん、もう少しだけ頑張って!君の未来は明るいよ!と、応援したくなりました。
幼馴染との両想いのラブコメに見せかけて、「好きだからこそ踏み込めない」葛藤を描いた青春物語。主人公・正三くんは、美華さんの想いに気づきながらも、とある事情により“あえて鈍感を演じる”ことを選ぶ。その結果、甘くて近いのに触れ合えない距離感が生み出す切なさが、とっても印象的です。読んでいて思わず「ふふっ」と微笑む言葉選びや、ラブコメ的なテンポとメタなユーモアの裏に、互いに想い合いながら時期を待つ誠実さが滲む。2人の未完成な関係の尊さと、未来への静かな約束が感じられる、とっても素敵な短編です。