こころ
金曜日
こころ
私が選択した人生の最後の瞬間は想像に反し、永遠とも思える程に長い苦痛であった。
昔柔道で首をきめられ抵抗する間もなく意識が遠く吸い込まれた記憶など嘘の様であった。
初めは細いローブ。細すぎたのか首に食い込み苦しい割に意思はハッキリとしており食い込みが酷く耐えられるものではなかった。
次は太めのロープこれは幾分マシであったがそう変わらなかった。
厚手のタオルを巻く事で食い込みによる痛みは軽減されたが、これもまた目的にはあといっぽたりなかった。
体重をかける位置など試行錯誤を重ね、その時がきた。
達成を確信した時、底知れぬ恐怖を感じた。
自ら命を断つ行いへの戒めなのか。
恐怖によるパニックが加速するほど抗うことができなかったが、目的は達成されず。ただ、後戻りもままならなかった。ただただ、生命とは力強く中々に死を受け入れる程容易なものではなかった
いよいよ深淵が近づいた時に走馬灯が流れた。
順を辿り映し出されるモノではなく、初めに見た光景は初告白の思い出だ。
これもまた戒めなのか。
それならば誰が為の戒めなのか。
成人式の日に小中高を共にした幼馴染へ告白をした。
返事は待ってくれと言われ回答を催促するも回答をくれたのは半年も先の事であった。
結果は了承されたが、真実はその後の私を苦しめた。
彼女は私の友に好意を寄せていた。ただ、私の想いを知る友は首を縦に振らなかった。
なかなか首を縦にふらない友に体で迫った。それでも首を振らない友人にせめて初めては想い人にと懇願し友はしぶしぶ了承し体を重ねた。体を重ねた若人が一度で済むはずもなく二人は体を重ね続けた。
私が告白をした事、回答を催促をしている事を知った時より友は罪悪感を覚え彼女へ別れを告げた。
諦めきれない彼女は私との交際を通し友との繋がりを切らない選択を取った。
ただ、それだけではとどまらず、2人の関係を私に告げると友を脅迫し体を重ね続けた。
その事実を知るのはずっと先の事であるが、知らないままでいれたなら、ロープが食い込む感覚を知らずに生きることができたのだろうか。
欲しいもの、知りたいことはなかなか手にすらできないのに
いらないもの、知りたくないこと程突きつけられるのはなぜなのだろうか
こころ 金曜日 @kinyoubi
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