林檎

 

第1話

 ドアをノックする音が聞こえた。ドアを開けると、後輩がダンボールいっぱいのりんごを抱え、立っていた。


「りんご貰いません?」


「永遠の眠りにはつきたくないから無理」


「私、先輩のこと毒殺したいほど美しいとは思ってないですよ」


「楽園を追放されたくないんだ」


「これは知恵の実なんかじゃないし、私は蛇じゃありません」


「そうかなぁ。だって君、スリザリンにいそうな顔してるじゃん」


「それを言うなら先輩もそんな顔してますよ。そんなにりんご嫌いなんですか?」


「アレルギーなんだ」


 僕がそう言うと、彼女は僕の散らかっている部屋をじっと見てこう皮肉を言った。


「へ〜、りんごを一度も食べたことないのにそんなに堕落するものなんですね」


「違うよ。楽園から追放されていないから僕はこんなに堕落しているんだ」


 僕の言葉を聞くと、彼女は僕に向かってこう言った。


「でも年末なので少しぐらい掃除した方がいいですよ。……それじゃ、よいお年を」

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林檎   @hanashiro_himeka

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