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燃える様な赤銅の髪。何かを伝えたがる様に開かれた目。決して美しいとは言えないが、其れでも一度見たら忘れられない様な空気がある。特に特定の状況下では。
年始が始まり、お気楽に過ごせる時間も短くなって来てから思うのは、やり残した事が無いかである。一つの忘れ物、つまり目的としていた神社巡りが終わっていない事を除けば、ある程度は終わった。後は好きに生きるだけである。
そうして相方瑠衣が寝静まっている時間に、そっと家を出てふらりと街を放浪する事にした。
たまに思うのは、瑠衣が隣に居なかったらどういう生活を送るのか。である。私は結構甘ったれの精神年齢の低い子供であるので、多分実家から出ないだろう。そうして親が亡くなるまで、温室育ちでぬくぬくしながら、一人で生きていく術を脳内で考える続けた事であろう。
なんだかんだで気の合う会社の同僚と結婚していたかも知れない。でもきっと、私の我儘に耐えられず、相手から別れを切り出された事であろう。
こんな自分を恥ずかしいと思わないの? 人としてどうなの? なんて聞かれたら、恥ずかしいとは思う。けれども、其れで犯罪に手を染めていない時点で、貴方の実害は被ってない。何でもかんでも犯罪者予備軍にするの辞めたら? などと返すかも知れない。
人生どうなるか分からないとはよく言ったものである。
――私から見て、君は一体どう見える?
扱いにくい、気性の荒い女だろうな。そう思ってくれたら本望だけど。自信がない人間を傍に置いて置く輩とはハナから仲良くする気はない。
――なんだかんだで生き抜きそうな、折れても一人で立ち上がる様な女。お前、辛くて泣いても、俺を必要としないだろ?
思いの外しっかりとした口説き文句が帰ってきた事を思い出す。其れで良いと思ったし、これからもそうでありたいと思った。
瑠衣と出会わなくても、私を軽んじる人と結婚するぐらいなら、一人でいいな。そもそも人に合わせられる程、私の懐はデカくないし。
朝起きると、スマホにチャットが届いていた。
――朝ごはん( ̄▽ ̄)
移し出されたのは、メニュー表だった。オムライスやパスタ、ピラフなどが載っている。
彼奴、年末年始だからブレーキ壊れてるな。それでもそういう女だから、忘れられなくもある。
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