派手な外見や容姿のせいで「遊んでる」「ヤりまくり」と噂されているけれど、実は本が好きで大人しい高梨薫子。
全7章から成る作品で、薫子の周りの同僚や親友、初恋相手の物語がザッピングストーリーのように展開されます。
本作はそんな薫子を取り巻く人間関係を描いた恋愛物語です。
男たちは皆、薫子という高嶺の花をむしって持ち帰ろうと躍起になる。ウワサでは、あの花は男という花瓶であればどこでもいいらしい。なら俺が、なら俺も……
女たちもまた、あの高嶺の花が面白くない。きっとあの花は文字通り、高みから自分たちを見下ろして馬鹿にしているに違いない。摘まれてほしい、枯れてほしい……
本人があずかり知らないところで、今日も誰かが煮えたぎる性欲や冷たい嫉妬を自分に向けて育んでいる。想像してみると、これほど怖いことはないでしょう。薫子が防犯のために催涙スプレーを持ち歩くのも、決して大げさではないことがわかります。
そうした数々のトラウマが、薫子から自信や初恋も奪ってしまった。そんな中で薫子は、一人の男に恋をする。
高嶺に咲いてしまった花を摘むでもむしるでもなく、水を注いで風を防ぎ、その花を守るために崖を登って来る人がいることを、薫子は知ることとなる。
果たして「やりまくり」の高梨薫子は、自身に貼られたレッテルや築き上げてきた心の壁を乗り越えて、再びその恋路に足を踏み出せるかどうか……
皆様も是非、二人の恋の行く末を見届けてみてください。
作中で直接言及はされませんが、「ルッキズム」という言葉が持つ意味を考えさせられます。「美人」だから得というわけではなく、外見や容姿という一要素でその人の人格を判断すること自体に、間接的に警鐘を鳴らしている作品とも読み取れます。
しかしながら文章のタッチはあくまで柔らかくて読みやすく、コミカルですが時にシリアスで引き込まれます。
ビターで大人で、明るく切ない恋愛小説です。オススメです!