第6話もしかして両親だって思ってるの?
いきなりのことに、無抵抗に俺は地面に倒れる
「ひっ!」
今さっき、サンタに撃たれたことで強く目を瞑り、拳を固く握る⋯⋯が弾丸が撃たれる気配はない
「サンタクロースの数は二人、一発は迫撃砲、もう一発は君を狙って引き金を引いているんだから、少しの間は撃ってこないよ」
呆れたあずきの声に薄く目を開く、あずきが何か汚いものを見るような目で俺を見ていた。
「おとりというより、それは的だと思うけど」
それで自分の姿を見てみると、手足を丸めダンゴムシのように自分がなっているのに気づいた
年下の女姿に情けない顔で見られるとさすがの俺もなんだか恥ずかしくなってきて
「べ、別に。いきなり押されてびっくりしただけだし」
「左向いて」
申し訳程度のやせ我慢には興味が無いようだ。
ため息とともに左を向く。すぐに目に映ったのは、さっきまで遠くにいたサンタがあっという間に近くまで接近していたこと。そしてサンタがスコープを覗いて俺を見ていたこと
「ひゃーーー!!」
隠す気のない慈悲を求める悲鳴を上げて走る俺をサンタクロースは容赦なく、弾丸を撃ってくる
「ダン!」「ダン!」放たれたうちの一つの弾が俺のズボンの裾をを打ち抜く。
一瞬でも足を止めたら確実に体を撃ち抜かれる、本能が直接脳に語り掛けてくる
「迫撃砲用意できたからm残り二人を撃つおわ得るまで、できるだけ障害物に隠れないようにして逃げ続けてね」
あずきは俺が撃たれてる間に場所を変えたのか、死角となる建物の影から今作ったのか新しい迫撃砲を操縦しているところだった
「いや無理ーーー死ぬーー」
途端、サンタのスナイパーの銃声とは違う、迫撃砲独自の、鈍く重工な音が響いた
迫撃砲の音が恐怖を増幅させ、体が直接行動に命令を出し安全な、屋根のある駅の中に入ってしまう。
もうあずきも見えなくなってしまって、遠くからすごいスピードでやってくるサンタが一人見えるだけだ
「いや、大丈夫だ⋯サンタの銃声なってないし、あずきも狙われてない。どっちも隠れれば狙撃されることは無い。あずきは俺に撃たれて死ぬのが儲かるからそういってるだけだ」
あずきの言葉に違反してしまった自分に自己暗示をかけるよう、静かな声で、頭で何度も反芻しながらつぶやく。
確かに、銃声は聞こえなくなった⋯その変わり、サンタのでも迫撃砲のでもない、爆発音が連続で聞こえてきた
「あずきがやったのか?」
こっそり顔を出して、外を見る。今の今まであった駅前の荘厳なビルがメラメラ燃えていた
その頭上で、トナカイがそりからプレゼントを無作為に選んで地上に投げつけていた
落ちたプレゼントが地面に触れた瞬間、爆発し周囲の建物に灼熱の炎が燃え広がる。
歩行者沿いに植えられた木々が、次々に燃え移っていった
「あずきーー」
咄嗟に自分が何かやらかした気がし、あずきの隠れていた建物の影にあずきを呼びながら走る。
迫撃砲に乗ったまま、あずきは俺を見るなり、むっと睨んだ
「おとり役が逃げたらだめだよ。トラトラタぶっころすよ」
最期に意味の分からない母国語を挟まれるも、気にしている場合ではない。
「あずき、すぐに撃ってくれ消防は俺が」
建物の破壊に移ったサンタは、移動をやめて空中で止まったまま。あの早いスピードを撃ち抜いたあずきなら動かない的などどうってことないはずだ。けどあずきは全く撃つ気配を見せない。それより
何かを探しているようだ
「あずき⋯撃たないのか?」
「よく見て。あれはトナカイとそりだけでサンタクロースはいない」
地上から角度の問題で正確に見ることはできないものの、確かにサンタらしき人が乗って姿が見えない⋯
「多分そりで身を隠してるんじゃないか?とりあえず撃ってみて⋯」
「いた」
言葉を遮り、あずきはハンドを急激に回し銃口を右に向ける。遠くのビルの先ではサンタがこっちを見てスナイパーを構えていた。即時、サンタは引き金を引く。銃弾は速く鋭く正確に、あずきの胸を貫いた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます