宇宙人は君を愛しているらしい
ほげ〜船
誰もが自分を嫌いだから
昨日、人生で初めて酒を飲んだ。父親が棚の裏に隠してたウヰスキーを引っ張り出して、ボトルのまま飲み干した。
ウヰスキー、それをどういう読み方をするのかは知らないが、今更、知りたいわけでもない。
今日、人生で初めてロープを結んだ。固く結ぶ方法なんて知らないから、端とぐちゃぐちゃに絡めて瞬着を垂らしただけだ。
ためしに引っ張ったが、結び目はびくともしなかった。だからまあ、そこまで間違ってもいないはずだ。
明日、人生で初めて発見される。自分でさえも見失っていた、自分を発見される。
その、自分というのが果たして自分と呼べるのか───その答えを知る術はない。特に知りたいとも、思わない。
とりあえず、深呼吸をした。どっと汗が噴き出た。どく、と心臓が打った。急に世界が薄らぐような気がした。自分が立っている場所から足を踏み外してしまうんじゃあないかと、そういう風にも感じた。
不愉快な感覚。ずっと逃げ続けていたそれらを、最後にじっくりと味わう。
人生を消す、そういう決意ができた。
目の前の杜撰な輪っかを掴んで、首を突っ込む。
足場を蹴り飛ばして自由落下。瞬間、流れる走馬灯。
楽しかった、楽しかったと思える日々が流れてゆく。
きっと、ずっと手放したくなかった。一度は、あの思い出たちがあれば生きていけると思えた。
でも、気づいてしまったから。
自分の胸はからっぽなんかじゃない。ただ、メダルがついていなかっただけ。
ポケットの中に、たった一つだって誇れるものがなかっただけ。
特段、辛かったわけじゃない。特別、悲しかったわけじゃない。けれど絶望的に虚ろだった日々に嫌気が刺して、生という義務を放ろうとする。
そんな無価値な自分なのに、誰かに愛してもらいたいと思ってしまった。無償の愛を、有償でだって誰にも何も与えられない自分が求めてしまった。
気づいて、しまったから。
だからそれは、死に値する。そして生に値しない。
思ったんだ。
君もきっと、そうだったんだろ?
2026年3月の1/3504だった君とそうなりゆく僕は
宇宙人は君を愛しているらしい ほげ〜船 @hogeeee
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