悪の劇場

アズキ

誕生

第1話「嫌な職場」

とある動物園。ジョニーはそこでパフォーマーとしてアニマルショーをしていた。

と言っても過去形の話だったが。彼はこの職場の上司から嫌がらせやイジメを受けていたのだ。その理由は至ってシンプル。彼のことが気に入らないから。


ジョニーの年齢は26歳。

髪は少し長め、身長は170ぐらい。


職場は酷いものだ。動物のことをまるで物のように扱い、虐待に近いことも平気でやっている。

それに対して口を挟んだのも、ジョニーが嫌われるようになった原因の1つと言えるだろう。決して人手が多いとは言えない。

それプラス、働いている人全員が動物のことを下に見ていると考えると絶望的な職場環境だ。


ここに来てからジョニーは変わった。元々、人との絡みが好きだったし、関わり合いたいと思うことが普通だった。でも、人の嫌な部分をたくさん見る羽目になってしまったからだ。

社会人になればそんなのいくらでもある、なんて言われても、そんなもんと比べて欲しくはなかった。


自分のことをナンバーワンだと勘違いして仕切る野郎。

自分に利益が出ると分かっている相手にはゴマをすり、ひっつき虫になるクズ。

誰かを下に見ていないと生きられないゴミ。

そんな奴らしかここにはいない。こんな状況で人のことを好きになる方が難しいだろう。


唯一の心の支えはアニマルショーで使われている動物たちだ。彼らはなんの躊躇もなく心を開いてくれる。何度かトレーニングにも携わり、動物たちとの関係を築くことができていた。


「やぁ、今日の調子はどう?最悪なら、俺とお前は通じあったな。お互い頑張ろう。」


そんな風にして動物に話しかけるようにしてる。できるだけ同僚には見られないように。


この動物園のショーは肉食系の動物を多く扱う、少し変わったものだ。その分、人気もある。


何度かショーに出た。人気があったと思う。

それが気に入らなかったんだろうな。自分に不利益なものは排除されていく。急に来たヤツが自分よりもショーを上手くやっていたら、いい思いはしないだろう。



「おいおい、まだ懲りずに来るのかよ。お前みたいな奴は豚箱にでも入ってた方が少しはマシになるぜ。」


嫌な奴。後輩の癖に、ジョニーを下に見てくるロナウド。


「早く掃除済ませろよ、でないと昼休憩はなしだ。」


上司だが、優しさなんて一度も感じたことの無い、ジェイコブ。


他にも色々いるが、まぁこんな所でいいだろう。思い出すだけで嫌気がさしてくる。

自分の今の仕事はほとんどが掃除か雑用。

この仕事についてから数年が経つ。普通ならショーとかやれている頃だろう。自分は前まではやっていたが、もうやれる機会はないと思っている。


掃除の時はほぼ無心。唯一の心の支えの動物たちも掃除の時はいない。空っぽの檻を洗うだけの作業。

これも動物たちのためだと、嫌な訳ではなかった。

嫌なのは、動物たちのためを思って工夫したいことを提案しても却下されること。


エンリッチメントってやつ。もちろん、目標も立てている。目標もなしに、ただ感情だけで動いたって成功はしない。

ただ、どれだけやっても自分のことが嫌いだからという理由で話しが通ることは一切なかった。


何度、同僚を殺そうかと思ったか分からない。

頭の中ではもう1000回以上は殺している。世の中の人間、皆そんなもんだと思う。

想像の中で人を殺すなんてありふれた話。


こんな自分には娯楽が無いわけじゃなかった。

行きつけのBARがあるんだ。特に嫌な日にはそこに行くようにしてる。

今日の夜はそこに寄ることにした。

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