File02 続報 記事:篠原余白


*本日3回更新2回目です*


先日の報道が出てから数日後のことである。

先と同じく、地方のローカル報道に続報がでていた。


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S市アパート遺体 居住女性の氏名公表


【S市】S県警S署は十日、S市N町のアパート一室で男性の遺体が見つかった事案について、当該アパートに居住していた女性の氏名を公表した。


署によると、女性は篠原余白(しのはら・よはく)さん(38)で、同市内の会社に勤務していたという。篠原さんは現在、所在が分かっておらず、警察が行方を捜している。


この事案は十日、篠原さんの勤務先関係者から「数日間連絡が取れない」との通報があり、署員がアパートを確認したことで発覚した。室内の寝室ベッド上で、年齢二十代後半から三十代後半とみられる男性が倒れているのが見つかり、その場で死亡が確認された。


警察は、遺体の損傷が激しいことから、車両にひかれたことによる死亡の可能性があるとみて調べている。一方、遺体が発見された室内に荒らされた形跡はなく、玄関も施錠されていたことから、第三者が侵入した痕跡は確認されていないという。


遺体の身元については、現在も確認が進められている。警察は、篠原さんが何らかの事情を知っている可能性もあるとみて、行方の特定を急ぐとともに、事件性の有無について慎重に捜査を続けている。


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女性の名前が報道された。

警察からすれば、隠しておくよりも市井に情報を求めたいといったところだろう。

ただ、依然として謎は謎である。


そして――おれはもうひとつの違和感を抱いた。

それはおれと同姓同名の女性がいたということだ。

余白などという珍奇な名前の人が他にもいたとは……。


いや……待て。

ちがう、おれは知っている。

同じ名を持った人が……確かどこかで見たはずだ。


はっきりとした年月日までは覚えていないが、大学生だった頃だと思う。


講義と講義の合間、暇つぶしにいた学食のテレビで流れていたニュースだ。

確か、こんな内容だった。


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篠原余白さん殺害事件


S県S市で、女性が殺害されているのが見つかりました。

警察によりますと、亡くなっていたのは同市に住む篠原余白さんで、同市内の大学に通っていたとみられています。


篠原さんは自宅のアパートの一室で倒れているのが発見され、刃物で刺された痕が複数あったということです。

室内に荒らされた形跡はなく、玄関は施錠されていました。


警察は、顔見知りによる犯行の可能性も視野に入れ、捜査を進めています。


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細部は曖昧だ。

刺されたのが何箇所だったのか、凶器が何だったのか、正確には思い出せない。


だが、ひとつだけはっきり覚えていることがある。


――名前だ。


篠原余白。

画面のテロップを二度見したのを覚えている。

なにせ自分と同じ名前だったから。


同じ名前の人もいるものだな、とどこか他人事にしか思わなかった。

それだけ思って、すぐに忘れた。


いや、忘れたはずだった。


だが今、行方不明者として報じられている篠原余白という名前を見て、あの時の違和感が、遅れて形を持って戻ってきたのだ。


――同じ名前の女性が、二度、報道に現れるだろうか。


しかも、

一度目は「殺害された女性」として。

二度目は「行方不明の女性」として。


加えて、年齢だ。

当時の報道から二十年弱、となると二度目の報道の女性とも年齢が合致する。


いや、そんなことはない。

確かに――殺人事件だと報道されていたのだから。

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