自分の眼
今日もつまらなかった。いや、最初は楽しかった。
また、父親に怒られた。ただ、友達と川で遊びに行っただけだ。
でも、何故怒られたかはわかっている。僕が友達のおもちゃ(水鉄砲)を川に流したからだ。もちろん、自分の意志だった。矢っちゃんから水鉄砲を奪い取って、思い切り遠くへ投げた。あんなに、遠くへ飛ぶとは思わなかった。
宙へ待った水鉄砲は激しい流れに落ちて、逃げる魚のように下って行ってしまった。
矢っちゃんは怒った。怒った後に涙をすすり始めた。おもちゃを取り上げられた赤ちゃんのように。これだけを考えると僕だけが悪いと思う。
でも、それは矢っちゃんが先に仕掛けたことだった。
昨日のこと。昨日の学校終わりに僕は矢っちゃんに川で遊ぼうと言われた。
正直遊びたいとは思っていなかったが、家に帰っても暇でやることがなかった。
僕は家の近くにある黄泉途川(よもずがわ)で矢っちゃんのことを待っていた。
矢っちゃんは水鉄砲を持ちながら岩の階段を駆け下りてきた。
「あやとー」矢っちゃんは僕の名前を呼んで僕に水鉄砲を撃ってきた。
僕はそれに応戦するように川の水をかけた。
そんなことをしながら僕たちは川ではしゃいでいた。
遊び疲れてきたころに、矢っちゃんが自分のペットの話をしてきた。
「おれ、最近犬飼ったんだ。しかも、でっかくなるやつ。」
「えぇーいいなぁ」
「まだ小さいけど、大きくなったらおれより大きくなるんだって、ママが言ってた。」
「そうなんだ。家の中で飼ってるの?」
「うん。」
「やっちゃんの家大きいもんね」
「そんなことないよ」
「てか、あっくんは何か飼ってたっけ?」
「鶏がいるかな。」
「めずらしいな」
「一匹?」
「何匹かいるよ」
「そういえばお前んち農家か」
「うん」
僕のお父さんは農家だ。鶏以外にも野菜とかを育ててる。
「じゃあ食べちゃうの?」
「食べないのもいるよ」
こんな会話をした後、僕は矢っちゃんを泣かせることになった。
よく覚えてないけど、矢っちゃんが何か言った気がする。
そして僕はお父さんに怒られた。お父さんはきっと矢っちゃんの親に何か言われたんだ。
お父さんはいつも優しいけど今日は怖かった。
それに僕は不思議な気持ちだった。矢っちゃんに申し訳ないという気持ち、まだ残っているムカッとした気持ち、そして、お父さんへの申し訳なさ。矢っちゃんになんて言われたかも覚えていないのに。
矢っちゃんは仲の良い友達なのに僕は何であんなことをしてしまったのだろうか。
僕は泣きながらお母さんに聞いた。
それでもお母さんは答えてくれない。
笑顔のままのお母さんと、線香の匂いで。
そのせいでもっと悲しくなった。
僕は家を飛び出し、庭で泣いた。
永遠のトリ肉 ノイタミナン @kyoussgr
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