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新年早々、昔頻繁に私を痛め付けて来た男子が夢に出て来た。お陰で目覚めは最悪であった。唯一の救いと言えば、目覚めた時に瑠衣がいた事であろうか。
目覚めてからも私の顔は大して変わってはいない。冬場特有の、日焼け止めを塗った生っ白い顔が現れているだけであった。
大して美しくも、可愛くもない、平凡な顔。面と向かって『可愛くない』と言われた顔が其処にある。なんで何も知らない一部の男性は『女ならモテていた』とか『女なら化粧が出来るから』とか抜かした事を言うのかねぇ。美人でも可愛くもない、増してや好みでもない女に言い寄られて嫌なのは、貴方が男性でも大して変わらないでしょうに。
そんな事を考えてしまう。まぁ其れは今少し可愛い顔をしていたら、綺麗な顔をしていたら、学生時代、少しは生きやすかったのかとという『もしも』の話を考えてしまうからなのだが。
そうして顔を洗い、洗顔と簡単なスキンケアを行い、日焼け止めを塗った後、ふと振り返ると瑠衣がいた。元旦から暗い顔など見たくも無いだろうと思い、無理やりにでも口角を上げる。
「新年、開けましておめでとう」
また一つ、年が開けてしまったよ。あんまり良い年明けでは無かったし、日常と言えばただの日常だけれども。
「ん」
瑠衣はただ瞬きをして、短い返事をした。瑠衣にとって、新年など大した事ではないのだろう。ただ昨日が今日になっただけ。過去が今になっただけ。其れに対して目出度いもない。一月一日が特別という訳ではなく、明日を迎える事こそがきっと目出度い。そういう生き物だった。
私も、それぐらい割り切って生きないと。過去に執着したって、未来に暗い影を落とすだけのだから。
「昨日」
「あぁ、ごめんね。いじけて面倒臭かったでしょ?」
男女共に精神が安定している。其れは万人の望みであろう。けれども毎日、一分一秒、ずっとニコニコしているのはただの不可能なので、私に干渉されない生き物を選んで生きている。それだけが唯一の救いである。
「まぁ、それなりに」
嘘を吐かないのが瑠衣の良いところである。
「優れた生き物を目指すのは崇高で、平伏すべきことだが、悩むより考えろ。新年はそれだけを楔にしてろ」
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