地下、と聞いて思い浮かぶもの、その陰鬱とした雰囲気は言わずもがな、しかしてどうして人はそれに惹かれてしまうのだろう。
本作は横浜中華街というある種身近な場所を題材に、その下に蠢くものを克明に描き出す。賑やかな中華街のその下にある土、それに埋められたものを掘り起こせば事件になるに決まってる――主人公に降りかかる民族、歴史、決断は、どれも苦しいものに違いない。
だが、それをも超えてわれわれ読者の好奇心を煽るのがうまい一作。きっと碌な目には合わないんだろうけど、どんな道が待っているのか、地下に眠る真実を知りたくて次をめくってしまう!
一度読んだら止まらない、霧の中なのに足が止まらず、何処に辿り着くのか楽しみになってしまう、恐ろしい力に溢れた作品である。