『魔力変革者(エナジー・シフター):異界の枯渇を救う元ラガーマン社長』

春秋花壇

魔力変革者(エナジー・シフター)

魔力変革者(エナジー・シフター)


吹き抜ける風は、煤(すす)の色をしていた かつて神々が愛した大気は 無秩序な欲望に燃やし尽くされ 重く、淀んだ、魔力の残滓(ざんし)に沈んでいる


「パスを回せ。ただし、無駄な魔法(エネルギー)は一滴も流すな」


静寂を切り裂くのは、冷徹な数字の響きと 芝生を蹴り上げる、あの頃と同じスパイクの音 スーツの肩幅は、数多のスクラムを支えた誇り ネクタイを締める指先には 商社という名の戦場で磨いた、獲物(ディール)を逃さぬ執着がある


魔法の杖を捨て、彼はデータを掲げる 見えない汚れを、残酷なまでに「可視化」する光 「祈りでは世界は冷えない。必要なのは、仕組み(システム)の転換だ」


暴走する獣の咆哮も、古びた権威の呪文も 彼の強靭なタックルが、物理の理(ことわり)でねじ伏せる 泥にまみれ、深夜のオフィスで図面を引く背中は 誰よりも早く、次の一歩(アス)へと走り出している


魔力を売るのではない 魔力が巡る、未来の形を創るのだ


世界が臨界点(ティッピング・ポイント)を越える前に 彼は再び、見えない敵へと身を投じる その瞳に映るのは、清らかな風が吹く新しい地球(テラ)


「さあ、スクラムを組もう。世界を、塗り替えるために」


光を束ね、影を払い 元ラガーマンの鼓動が、全次元のグリッドを繋いでゆく。


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